2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076208
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 幹雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (30150254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 洋一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (40332770)
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Keywords | 中性子非干渉性散乱 / 動的不均一性 / 平均自乗変位 / アレスチン / 会合体形成 / X線溶液散乱 / イェロープロテイン / 光反応 |
Research Abstract |
機能性タンパク質の動力学と機能発現に関わる構造変化に関する研究を集中的に行ってきた。動力学においては、水和水の効果を詳細に検討することを最終目標としている。また、機能性タンパク質の溶液構造の動態や機能発現時の構造変化などについて研究を進めた。 1.中性子非干渉性弾性散乱は、Qの小さい領域ではガウス近似が可能であり、平均自乗変異を評価することができる。しかし、Qが大きくなると、ガウス近似からのずれ(非ガウス性)が顕著になる。この非ガウス性の起源に関する解析を行なった。その結果、非ガウス性は、タンパク質動力学の不均一性に原因の一端があることを示した。不均一性を記述する分布関数として二値分布が単純であるが妥当であることを明らかにした。二値分布は、タンパク質は揺らぎの大きい部分と小さい部分の二領域から構成されることを主張するモデルである。この分布により、結晶学的温度因子の分布の特徴も表現できる。 2.動物の眼において、視覚情報の遮断に関与するアレスチンについて、溶液構造の動態をX線溶液散乱により調べた。アレスチンは、リン酸化ロドプシンと一対一で結合することにより、情報遮断を行なう。X線溶液散乱の結果、アレスチンは溶液中では、低濃度では単量体、高濃度では四量体にあること、生理的濃度条件下では単量体と四量体の平衡にあることを明らかにした。濃度依存的な会合状態の変化を定量的に解析する方法を開発した。また、四量体形成は静電相互作用によることを明らかにした。さらに、アレスチンは、リン酸化ロドプシンにのみ結合することを示唆した。 3.イェロープロテインの光反応に伴う二次構造の変化を、CDスペクトルから明らかにした。また、この変化は、N末端領域のヘリックスが解けることのみならずCドメインでも二次構造変化が起きることを示した。これまでの中間体の結晶構造解析の結果に疑問を投げかける結果である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] N.Mataga: "Ultrafast photoreactions in protein nanospaces as revealed by fs fluorescence dynamics measurements on photoactive yellow protein and related systems."Phys.Chem.Chem.Phys.. 5. 2454-2460 (2003)
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[Publications] Y.Imamoto: "Concentration-dependent tetramerization of bovine visual arrestin."Biophys.J.. 85. 1186-1195 (2003)
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[Publications] Y.Imamoto: "Photoisomerization by hula twist : 2, 2'-dimethylstilbene and a ring-fused analogue."Angew.Chem.Int.Ed.. 42. 3630-3633 (2003)
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[Publications] M.Arai: "Effects of the difference in the unfolded-state ensemble on the folding of Escherichia coli dihydrofolate reductase."J.Mol.Biol.. 329. 779-791 (2003)
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[Publications] N.Harigai: "Role of an N-terminal loop in the secondary structural change of photoactive yellow protein."Biochemistry. 42. 13893-13900 (2003)
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[Publications] H.Nakagawa: "Protein Dynamical Heterogeneity Derived from Neutron Incoherent Elastic Scattering."J.Phys.Soc.Jpn.. 73(in press). (2004)
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[Publications] 中川 洋: "タンパク質動力学研究における中性子とX線の役割"波紋. 13. 116-119 (2003)