2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076208
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 幹雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (30150254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 洋一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (40332770)
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Keywords | タンパク質動力学 / 中性子非干渉性散乱 / 動力学転移 / 黄色ブドウ球菌核酸分解酵素 / イェロープロテイン / バクテリオロドプシン / 光反応中間体 / 時間分解X線回折 |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌核酸分解酵素(SNase)および光受容蛋白質イェロープロテイン(PYP)、バクテリオロドプシンを機能性蛋白質のモデル蛋白質として、折畳み、機能発現機構及び動力学について、以下の結果を得た。 1.SNase野生型(折り畳まれている)及びC末13残基欠損変異体(折り畳まれていない)について、中性子非干渉性弾性散乱による動力学転移の測定を行った。水和していない試料では、150K近傍の転移に両者の差が見出された。転移後は、変異体の方がやわらかくなる。より詳細な解析のために、高いQ領域までの測定を行った結果、散乱関数のガウス曲線からのずれが顕著になった。理想的な調和振動子では、散乱関数はガウス曲線になる。この非ガウス性の起源は、ソフトマター物理学にとっても重要な課題である。動力学的不均一性と運動の非調和性の二通りの起源が考えられるが、動力学転移点以下の温度でも非ガウス性が見出されることから、非調和性よりも不均一性の寄与を考えるべきである。これまで、動力学的不均一性のあらわな解析はなされていなかった。蛋白質動力学の不均一性は、表面とコアとで運動性が異なるという二値分布で表現できることを、実験結果から示した。また、動力学転移点以下では、表面の運動が支配的であり、転移点以上でコアの運動が活性化されることも示唆された。 2.イェロープロテインの光受容後の変化を詳細に検討した。pH依存的にL中間体とM中間体の平衡が変化することをはじめて見出した。 3.バクテリオロドプシンの光反応サイクルのマイクロ秒時間分解X線回折を実現するためのシステムを開発し、実際に応用した。その結果、シッフ塩基の脱プロトン化に引き続きヘリックスレベルの構造変化がおきることが明らかになった。M1-M2転移を実験的に証明した初めての例である。
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Research Products
(6 results)