2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076208
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 幹雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (30150254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 洋一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (40332770)
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Keywords | タンパク質動力学 / タンパク質折り畳み / タンパク質の機能 / イェロープロテイン / 黄色ブドウ球菌核酸分解酵素 / ガラス転移 / 光反応中間体 / 中性子非弾性散乱 |
Research Abstract |
中性子非干渉性弾性散乱のQ依存性は、理想的な調和振動子の場合、ガウス関数で記述できる。しかし、実際の測定では、ガウス関数からのずれ(非ガウス性)が観測される。我々は既に、この非ガウス性がタンパク質動力学の不均一性に起因するとして説明できることを示した。非ガウス性は運動の非調和性によっても説明できる。特に、ガラス転移点以上では、不均一性と非調和性の両者の寄与を考える必要がある。分子動力学シミュレーションにより、非干渉性弾性散乱への寄与を原子ごとに評価し、不均一性と非調和性の寄与の度合いを調べた。ガラス転移点以下では、予想通り、不均一性からの寄与がほとんどであり、非調和性の寄与は小さいことがわかった。一方、転移点以上では、非調和性が寄与してくるが、それでも不均一性の寄与の方が大きいことが明らかとなった。 PYPのR52は発色団を取り囲む残基の一つであり、M中間体形成に伴い、タンパク質内部から表面に向きを変えることが知られている。また、M中間体では、発色団が脱プロトン化する、すなわちpKaが上昇する。R52Q変異体では、吸収スペクトルは野生型と同じであるにもかかわらず、発色団のpKaが上昇している。R52Qは、M中間体でのpKa制御の機構を模倣していると考えられる。この観点からR52Qの結晶構造解析を行った。RからQの変異に伴いキャビティーが生成しており、そのキャビティーは2分子の水で占められていることがわかった。M中間体形成に伴い、R52が向きを変えることで、発色団周りにキャビティーが形成され、そのキャビティーに水分子が移動することにより、pKaの制御がなされているというモデルを提唱した。
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Research Products
(7 results)