2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーションによる蛋白質フォールディング・分子認識機構の解明
Project/Area Number |
15076209
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
池口 満徳 横浜市立大学, 大学院国際総合科学研究科, 準教授 (60261955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木寺 詔紀 横浜市立大学, 大学院国際総合科学研究科, 教授 (00186280)
渕上 壮太郎 横浜市立大学, 大学院国際総合科学研究科, 助手 (00381468)
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Keywords | 分子動力学 / 分子シミュレーション / タンパク質 / フォールディング / αラクトアルブミン / アクアポリン / 膜タンパク質 / 水チャネル |
Research Abstract |
蛋白質のフォールディングや機能発現は、蛋白質、核酸、水などの間の相互作用によって実現されている物理化学的現象である。分子シミュレーションは、計算機の中で、その相互作用を再現することで,フォールディングや機能発現のあり方を原子レベルで理解しようとする試みである.本研究では、我々が独自に開発した分子シミュレーションソフトウエアMARBLEを用いて、蛋白質のフォールディングや機能発現について、以下の分子シミュレーションを行った。 まず、ヤギのαラクトアルブミンに対し、N末端にメチオニンがついた組換体とついていない真正体について熱変性の分子動力学シミュレーションを行った。その結果、αラクトアルブミンではN末端に1残基メチオニンがついただけで、アンフォールディング速度が8.5倍も速くなるという実験結果を再現することができた。そして、Thr38の側鎖の間の水素結合の欠落が、アンフォールディング速度の上昇を生んでいると推察されたので、この情報を実験にフィードバックして、Thr38Alaの変異体のアンフォールディング速度を測定した。その結果、真正体の変異のほうが、組換体よりもアンフォールディング速度の増加が大きいことがわかった。このことは、分子シミュレーションによる予測が実験により検証されたことを示している。 機能面では、生体膜の上下で水を透過させる水チャネル蛋白質であるアクアポリンの分子動力学シミュレーションを行った。シミュレーションから見積もられた透水率p_fは、実験値とよく一致し、シミュレーションの妥当性が示された。水透過を決めているものが、単純にチャネルの半径だけでなく、チャネル中の水分子が水素結合でつながっていて、集団的に運動することが、水の透過性を高めることがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Atomically detailed description of the unfolding of α-lactalbumin by the combined use of experiments and simulations2005
Author(s)
Oroguchi, T., Ikeguchi, M., Saeki, K., Kamagata, K., Sawano, Y., Tanokura, M., Kidera, A.Kuwajima
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Journal Title
Journal of Molecular Biology 354
Pages: 164-172
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