2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーションによる蛋白質フォールディング・分子認識機構の解明
Project/Area Number |
15076209
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
池口 満徳 横浜市立大学, 大学院・国際総合科学研究科, 準教授 (60261955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木寺 詔紀 横浜市立大学, 大学院・国際総合科学研究科, 教授 (00186280)
渕上 壮太郎 横浜市立大学, 大学院・国際総合科学研究科, 助手 (00381468)
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Keywords | 分子動力学 / 分子シミュレーション / タンパク質 / フォールディング / αラクトアルブミン / アクアポリン / 膜タンパク質 / 水チャネル |
Research Abstract |
蛋白質のフォールディングや機能発現は、水との間の相互作用によって実現されている物理化学的現象である。本研究では、独自に開発している分子シミュレーションシステムMARBLEを用いて、蛋白質と水の関わりを様々な方向から研究している。 蛋白質のフォールディング過程において、水分子は重要な役割を果たしている。そこで、本研究では、水分子を露に導入した分子動力学シミュレーションを用いて、αラクトアルブミンの天然状態から変性させるアンフォールディングシミュレーションを行った。その計算結果の多様性から共通の特徴を見出すために、履歴マルチプルアラインメントという方法を開発した。この方法では、変性過程の履歴を蛋白質などの配列になぞらえて、その履歴をアラインメントすることで、各変性過程の共通点と相違点の分類が可能になる。この方法を、N末端に1残基メチオニンが付加された組換体の蛋白質と、付加されていない真正体の蛋白質のアンフォールデイングシミュレーションに適用した。その結果、遷移状態ではこの2つの蛋白質は同じ構造群を共有するが、遷移状態に至る経路は、かなり異なることがわかった。この遷移状態の構造群は、共同研究者である桑島研究室のφ値実験の結果とよく一致している。また、溶媒接触表面積の解析から、遷移状態の前後で疎水性の表面積が大幅に増加することがわかった。このことから、変性過程では、遷移状態に際して水分子が疎水核に入り込んでくることがわかる。逆にいうと、フォールディング過程では、疎水核の脱水現象が遷移状態前後の重要な現象であると言える。 このほか、蛋白質と水の関わりについて、分子シミュレーションを用いて、水チャネルアクアポリンの水透過機構やDNA結合蛋白質PhoBの水を介したPhoB-DNA相互作用などの研究を展開し、蛋白質の機能発現に水がいかにかかわっているかを探求した。
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[Journal Article] Nickel binding to NikA : an additional binding site reconciles spectroscopy, calorimetry and crystallography.2007
Author(s)
C.Addy, C.Ohara, M.Kawai, F.Kidera, A.Ikeguchi, M.Fuchigami, S.Osawa, M.Shimada, I.Park, S.-Y.Tame, J.R.H., Heddle, J.G.
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Journal Title
Acta Crystallographica Section D : Biological Crystallography D63
Pages: 221-229
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