2005 Fiscal Year Annual Research Report
Super-GZK問題の解決と最高エネルギー宇宙線の化学組成測定
Project/Area Number |
15077203
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
垣本 史雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00092544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉井 尚 愛媛大学, 理学部, 教授 (00036360)
門多 顕司 武蔵工業大学, 工学部, 講師 (00339532)
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Keywords | 宇宙線 / 起源 / GZKカットオフ / 化学組成 / 縦方向発達 / 空気シンチレーション光 / エネルギースペクトル / 活動的天体 |
Research Abstract |
本研究計画では、大気蛍光望遠鏡の心臓部である撮像カメラを制作し、超高エネルギー宇宙線のエネルギー決定精度の向上および一次宇宙線の化学組成を解明する。そこで、本年度は、カメラ本体12台を作成した。本カメラは,光センサーである光電子増倍管(PMT)と,この出力を電気信号に変換し,処理する電子回路より成り立っている。PMT前面には,背景ノイズとなる夜光をカットするためのショット社製BG3フィルターを取り付け,さらに,周辺からの砂塵などがカメラ内にはいることを防ぐため,カメラ窓材としてクラレ社製パラグラスを用いて作成した。回路系の試作も終了し,2005年9月と12月にカメラの2台を実験場所である米国ユタ州に送り,テスト観測を行った。これにより,観測系全体の動作を確認するとともに,現地での夜光条件や外的環境条件を調査し,さらに,観測トリガー条件のチューニングなどの基礎的データの収集をおこなった。また,これらの調整の後,カメラ1台のみを用いて宇宙線観測実験を行った。この結果,実際の宇宙線シャワーからの空気シンチレーション光の観測に成功し,観測装置が当初の計画通りの性能を達成していることを確認した。一方,観測データに対する解析プログラムの開発をおこない,前述の観測データを解析し,到来方向と一次宇宙線エネルギーの決定がおこなえることを確認した。本解析プログラムには,さらに,大気状態によるシンチレーション光吸収散乱の補正や,カメラに用いる光電子増倍管の量子効率が光電面上で一様でないための補正等をおこなうルーチンを付け加え最終プログラムの完成をおこなっている。
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