2003 Fiscal Year Annual Research Report
雄性生殖細胞に卵子発生プログラムを書き込むことは可能か?
Project/Area Number |
15080201
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
尾畑 やよい 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (70312907)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑田 出穂 群馬大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (50212147)
|
Keywords | 卵母細胞 / DNAメチル化 / 核移植 / 胚発生 / ゲノミックインプリンティング |
Research Abstract |
ほ乳類の生殖細胞形成過程では、卵子および精子に特異的なDNAメチル化が生じるため(ゲノミックインプリンティング;GI)、受精後の胚発生過程において、母親に由来した場合と父親に由来した場合とで発現を異にするインプリント遺伝子が存在する。これまでの申請者らの研究で、GIを確立する前の非成長期卵母細胞から核移植により受精卵を構築すると、こうした胚はインプリント遺伝子の発現異常により着床直後に致死となることが明らかにされている。すなわち、GIは、生殖細胞形成過程で行われるべき必須のプログラムであることがわかる。そこで申請者らは卵子特異的なDNAメチル化が卵子形成過程でいつどのように確立するのかを明らかにし、メチル化が完全に確立する以前の卵母細胞より構築した受精卵の発生能を解析した。 種々の成長ステージの卵母細胞(40〜75μm)を生後10〜20日齢のマウスより採取し、Snrpn、Igf2r、Lit1、Zac1およびPeg1遺伝子のDNAメチル化解析を実施した。その結果、Igf2r、Lit1およびZac1遺伝子は60μm以上で、SnrpnおよびPeg1遺伝子は65μm以上で卵子特異的な高メチル化を確立していることが明らかとなり、遺伝子ごとにメチル化確立時期が異なることが示された。また、卵子特異的なDNAメチル化はドナーマウスの加齢に依存せず、卵子のサイズに依存して完了することが判明した。 ついで、10日齢マウスより採取した50〜59μmの成長期卵母細胞核を十分成長した卵子の細胞質に核移植し、減数分裂・体外受精後の発生能を解析した。その結果、成長期卵母細胞より構築された受精卵は産仔への発生能(8%)を有することが明らかとなった。産仔のDNAメチル化型を解析したところ、Peg1遺伝子以外は母方(成長期卵母細胞由来)アリル特異的な高メチル化を示したことから、卵母細胞の部分的なメチル化は、受精後アリル全体に高メチルをもたらし、インプリント遺伝子の発現を制御しうることが示唆された(投稿準備中)。
|
Research Products
(1 results)