2007 Fiscal Year Annual Research Report
生殖系列とクローン発生のゲノムDNAメチル化プログラム
Project/Area Number |
15080202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩田 邦郎 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80196352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90242164)
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Keywords | DNAメチル化 / 始原生殖細胞 / CpGアイランド / CpGアイランド |
Research Abstract |
本研究は、生殖細胞特異的なDNAメチル化・非メチル化ゲノム領域を同定し、生殖細胞の分化に伴うDNAメチル化プロフィール形成機序を明らかにすることを目的とする。これまで10箇所の精子特異的低メチル化領域(sT-DMR)を特定していたが、本年度はまず、Ant4遺伝子の転写開始点上流域に位置するsT-DMRのメチル化が、この遺伝子の発現抑制に関与することを報告した。また、生殖細胞で高い発現を示すHaspin遺伝子座においても新たにsT-DMRを見出し、DNAメチル化と発現の関係を明らかにした。sT-DMRのうち、8つの領域について精子分化過程におけるDNAメチル化の変化を解析したところ、全領域が生殖隆起に定着した始原生殖細胞(PGC)で既に非メチル化状態にあることが判明した。一方、移動期のPGCでは4領域が高メチル化状態にあり、残りは低メチル化状態にあった。これまで、生殖細胞分化過程におけるDNAメチル化状態の変化は、インプリント遺伝子座では生殖隆起内のPGCで脱メチル化が生じ、雄性生殖細胞で特異的に発現するいくつかの非インプリント遺伝子座では出生前後の精原細胞で脱メチル化が生じるとされていた。我々が特定したsT-DMRはいずれも非インプリント遺伝子座であるが、上述のように、半数はインプリント遺伝子と同様のタイミングで、残りは移動期のPGCですでに低メチル化が確立していた。すなわち、非インプリント遺伝子座における精子特異的なDNAメチル化パターンは、領域によっては従来の概念よりも早い時期に確立されているのである。本年度はさらに、卵特異的遺伝子Hlfooの上流域に位置するT-DMRについて、そのDNAメチル化が発現抑制に関与すること、および、発生のいずれの段階においても雌性生殖細胞系列ではDNAメチル化を受けないことを明らかにし報告した。
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Research Products
(22 results)