2005 Fiscal Year Annual Research Report
個体発生における生殖細胞系列と体細胞系列のエピジェネティクス
Project/Area Number |
15080203
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石野 史敏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60159754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金児 知子 (石野 知子) 東海大学, 健康科学部, 教授 (20221757)
幸田 尚 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (60211893)
福原 武志 東京医科歯科大学, 難治疾患研究, 助手 (20359673)
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Keywords | ゲノムインプリンティング / 哺乳類の個体発生 / 哺乳衣類の進化(系統発生) / レトロトランスポゾン / 胎盤形成 / 体細胞クローン動物 / 2型糖尿病 / 新生児の成長異常 |
Research Abstract |
本年度の成果は以下の通りである。 1)大阪大学の岡部勝先生との共同研究で、XX-XYキメラマウスにおけるXX始原生殖細胞の発生運命を解析した。通常は卵子になるXXの染色体をもつ始原生殖細胞は、精巣の環境下では大部分がオス型のゲノムインプリンティング刷り込みを受けるようになるが、その後死滅すること、少数例は形態的には卵子へ分化し、ゲノムインプリンティングもメス型に近い状態になることを明らかにした(PNAS) 2)京都大学の篠原教授との共同研究で、生後のオス精巣から樹立した精子形成能をもつ幹細胞(GS細胞)は、非常に長期の培養においてもゲノムインプリンティングのパターン、および遺伝子発現パターンが安定に保たれることをあきらかにした。しかしテノメアー長の減少が確認された事から無限に増殖する訳ではない事が明らかになった(Development)。 3)国立成育医療センターの緒方部長との共同研究で、典型的な染色体14番の父親性2倍体の表現型を示す患者で、ゲノムインプリンティング領域に限定した2倍体の例があることを報告した(Am J Med Genet)。 4)理化学研究所バイオリソースセンターの小倉先生との共同研究で、一見正常に生まれる体細胞クローンマウスでも、遺伝子発現が非常に乱れており、またこの異常は個体間で大きく異なる事を明らかにした。クローン動物は遺伝的に均一であるが、エピジェネティックには多様性の大きい生き物である事、通常の有性生殖過程を経る生殖様式は、個体発生におけるエピジェネティック制御に非常に重要である事を示唆した(Bio Redprd)。 5)レトロトランスポゾンに由来するインプリンティング遺伝子Peg10が、哺乳類の個体発生に必須な機能を果たしている事、それが哺乳類特異的な臓器である胎盤形成に関係していた事を明らかにした。これは、哺乳類の進化がレトロトランスポゾンを取り込んで起きた事を示す、世界で最初の報告である(Nat Genet)。 6)ゲノムインプリンティングが示す片親性発現が哺乳類の個体発生に必須であることを説明するコンプリメンテーション仮説についての詳細を解説した総説を書いた(Cytogenet Genome Res)。
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Research Products
(6 results)