2006 Fiscal Year Annual Research Report
核の初期化促進方法の確立およびクローン胚から作成したntES細胞の正常性の検討
Project/Area Number |
15080211
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
若山 照彦 独立行政法人理化学研究所, ゲノム・リプログラミング研究チーム, チームリーダー (40360672)
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Keywords | 核移植 / 初期化 / リプログラミング / クローン / ES細胞 / NT-ES細胞 / 再生医学 |
Research Abstract |
我々はクローン動物および体細胞由来ntES細胞を効率よく作出する方法の開発および初期化のメカニズムの解明を試みている。18年度にはntES細胞と受精卵由来のES細胞をDNAマイクロアレイやメチル化度、臓器への分化能などを比較し、両者にはまったく違いが見られないこと、つまりntES細胞は正常であることを証明した(Wakayama et al., 2006)。さらに我々は、分化能が低いことがネックとなっている単為発生由来ES細胞を核移植技術によって、受精卵由来ES細胞に近いレベルまで分化能を改善することに成功した(Hikichi et al., 2007)。一方17年度に我々はクローンマウスの成功率を最大で6倍にまで改善できたことを証明したが、この方法によりこれまで作ることが不可能だったICR系統のマウスのクローンにも成功した。ICR系統のマウスは最も一般的に使用されている系統であり、マウスのコストや利便性が改善されると思われる(Kishigami et al., 2007)。またクローンの成功率はドナー細胞の分化の程度に左右されると考えられていたが、しかしES細胞(未分化)、体性幹細胞である神経幹細胞(一部分化)、体細胞(完全分化)でクローンを作り比較した結果、クローンの成功率と分化の程度には相関がないことが明らかとなった(Mizutani et al., 2006)。クローン動物に頻発する異常については、卵子から核を取り除く際に卵子側の因子も除いてしまうこと(Thuan et al., 2006a)、体細胞の核を卵子に注入する再に発生阻害効果のある体細胞の細胞質まで一緒に注入してしまうこと(Thuan et al, 2006b)を発見した。それらの影響でクローン胚においては胎盤側より胎児側で異常が頻発していた(Kishigami et al., 2006)。
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Research Products
(7 results)