2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
斉藤 昌之 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (80036441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 和弘 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (30192561)
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / 白色脂肪細胞 / UCP / エネルギー消費 |
Research Abstract |
褐色脂肪細胞は、ミトコンドリアの脱共役蛋白質UCP1によって脂肪酸を酸化分解し熱に変換する活性を有しており、白色脂肪細胞とは逆に、エネルギー消費に寄与する特殊な細胞である。両脂肪細胞は共通の幹細胞から前駆脂肪細胞を経て分化するとされているが、両者の機能分化を決定づける分子機構は不明である。我々はこれまで、寒冷暴露やβアドレナリン受容体刺激など、交感神経系を活性化すると白色脂肪組織中の脂肪細胞が褐色化すること、並びに動物個体レベルでの酸素消費応答がUCP1量と良く相関することを見出し、交感神経性のエネルギー消費の大部分がUCP1に起因することを確定した。これらを踏まえて、本年度は以下の研究成果を得た。 白色脂肪細胞組織中に出現する褐色様の脂肪細胞の機能を明らかにするために、アドレナリン受容体作動薬(CL316,243)を2週間投与したり寒冷環境下に飼育したマウスの皮下及び内臓周囲の白色脂肪組織から、コラゲナーゼ処理によって脂肪細胞を分離した。この細胞はUCP1を多量に発現しており、ノルアドレナリン(NE)やCL316;243で刺激すると褐色脂肪細胞と同様に酸素消費が急激に増加した。作動薬を投与しなかった対照マウスの脂肪細胞や、UCP1ノックアウトマウスから分離した脂肪細胞では、酸素消費の応答はほとんど見られなかった。UCP1量と細胞の様々な蛋白質量との関係を調べたところ、UCP1量とのみ良く相関することが明らかとなった。UCP1量当たりの酸素消費活性を比較すると、本来の褐色脂肪組織から分離した細胞に較べて白色脂肪組織から分離した細胞では約10倍も活性が高いことが明らかとなった。なお、刺激による脂肪分解を脂肪酸やグリセロールの遊離から調べたところ、いずれの細胞もほぼ同じであった。これらの結果から、白色脂肪組織中に出現する褐色様の細胞は極めて高いエネルギー消費活性を持っており、動物個体レベルでのエネルギー消費に対する寄与が大きいと結論した。
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Research Products
(6 results)