2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081203
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 佳宏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70291424)
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Keywords | 脂肪細胞 / アンジオテンシンII / 1型アンジオテンシン受容体 / 高脂肪食 / アディポサイトカイン / 交感神経活動 |
Research Abstract |
アンジオテンシンII(AII)のエネルギー代謝調節作用の分子機構を明らかにするために、1型アンジオテンシン受容体欠損マウス(AT1a-KO)を用いて、高脂肪食負荷における摂食量とエネルギー代謝の変化を検討した。更に、培養脂肪細胞を用いてAIIの脂肪細胞分化とアディポサイトカイン産生に及ぼす影響を検討した。6週齢雄性AT1a-KOマウスと野生型C57BL/6マウスに8週間の通常食(脂質12%、3.57kcal/g)あるいは高脂肪食負荷(脂質60%、5.56kcal/g)により肥満の誘導を試みた。マウスの摂食量と体重の経時変化を検討し、交感神経活動とエネルギー代謝の指標として、直腸温、尿中カテコラミン排泄、酸素消費量、褐色脂肪組織におけるUCP-1遺伝子発現を検討した。更に、AT1a-KOマウスと野生型マウスより得られたマウス胎性線維芽細胞(MEF)と野生型マウスより得られた成熟脂肪細胞を用いて、AIIの脂肪細胞分化とアディポサイトカイン産生に及ぼす影響を検討した。 AT1a-KOマウスと対照マウスの間に明らかな摂食量の差はなかったが、AT1a-KOマウスでは、直腸温の上昇と尿中カテコラミン排泄の増加、酸素消費量の増加、褐色脂肪組織におけるUCP-1遺伝子発現の亢進などエネルギー代謝の亢進が認められた。培養条件下では、AIIは脂肪細胞分化に直接影響を及ぼさなかったが、AT1を介してIL-6やMCP-1などのアディポサイトカイン産生を誘導した。 本研究により、AT1a-KOマウスでは、高脂肪食誘導性肥満に対して抵抗性を示し、この少なくとも一部は交感神経活動の亢進によるエネルギー代謝亢進によることが示唆された。更に、AIIは脂肪細胞直接作用することにより、一部のアディポサイトカイン産生調節に関与するものの、脂肪細胞の増殖・分化には関与しないと考えられた。
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Research Products
(5 results)