2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 信行 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10110610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 守周 京都大学, 薬学研究科, 助手 (00322165)
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Keywords | 脂肪組織 / FGF / 組織形成 / 細胞増殖 / 分化 |
Research Abstract |
1.脂肪細胞増殖メカニズムの解明 脂肪組織形成過程では、前駆脂肪細胞が増殖し、その後脂肪細胞に分化していく。FGF10ホモ欠損マウスでは、脂肪細胞の増殖不全が認められた。従ってFGF10は脂肪細胞の増殖を促進していることが示された。そこで、FGF10による脂肪細胞増殖の分子メカニズムの解明を試みた。その結果、FGF10はRas/MAPキナーゼ経路を介してcyclin D2の発現を亢進し、p130をリン酸化して脂肪細胞増殖を促進することが示された。一方、その過程において、FGF10はpRbの産生に必要であることが示された。pRbは、脂肪細胞分化に必須であることから、FGF10はpRbの産生を介して脂肪分化を亢進することが期待された。 2.FGF10ヘテロ欠損マウスの白色脂肪組織の解析 生後の白色脂肪組織形成過程におけるFGF10の役割を解明するために、FGF10ヘテロ欠損マウスの解析を行った。高脂肪食負荷等により肥満を誘導したところ、ヘテロ欠損マウスでは野生型マウスに比べ、白色脂肪組織重量の有意な減少が観察された。FGF10ヘテロ欠損マウスと野生型マウスでは、個々の脂肪細胞のサイズに差が無かったことから、FGF10ヘテロ欠損マウスでは脂肪細胞数が減少していることが明らかとなった。従って、FGF10は生後の脂肪細胞の数の調節に重要な役割を果たすことが示された。 3.脂肪組織特異的FGF受容体2遺伝子欠損マウス(FGFR2CKO)の作成と解析 生後の脂肪組織形成過程では、成熟した脂肪細胞が脂肪滴を蓄積し、そのサイズを増大させていく。我々は、FGF受容体2が成熟脂肪細胞において高発現することを見いだした。そこで生後の脂肪細胞におけるFGF受容体2の役割を解明するため、FGFR2CKOの作成とその解析を行った。FGFR2CKOでは、コントロールマウスに比較して、個々の脂肪細胞のサイズの減少によるものと思われる、白色脂肪組織重量の減少が観察された。従って、生後の脂肪組織形成過程において、FGF受容体2は白色脂肪細胞における脂肪滴の蓄積に重要な役割を果たすことが示された。
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