2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081210
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 Kobe University, 医学系研究科, 准教授 (40294219)
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Keywords | IL-6 / インスリン抵抗性 / 肥満 / 糖尿病 |
Research Abstract |
本年度は脂肪細胞から分泌され、インスリン抵抗性を惹起する因子の候補の一つであるInterleukin-6(IL-6)のインスリン抵抗性への関与についてさらに検討をすすめた。肥満モデルマウスにおいて様々な条件下でIL-6の血中濃度と各臓器でのIL-6のmRNA発現を検討したところ、空腹時や随時摂食時の血中IL-6濃度は肥満、非肥満で差はなかったものの、摂食後や糖負荷試験後にdb/dbマウスや高脂肪食飼育マウスなどの肥満マウスでのみ血中IL-6濃度は著しく増加した。db/dbマウスや高脂肪食飼育マウスでは摂食後に腸間膜脂肪組織や睾丸周囲脂肪組織に加え、脾臓においてもIL-6のmRNA発現量が増加していた。db/dbマウスにIL-6の中和抗体を投与すると耐糖能は改善したが、このとき肝臓のインスリン感受性に変化はなかったが骨格筋のインスリン感受性が増強した。すなわち、IL-6は骨格筋にインスリン抵抗性を惹起すること考えられた。STAT3はIL-6の細胞内情報伝達に重要な役割を果たす分子であるが、db/dbマウスでは骨格筋のSTAT3のリン酸化も亢進していた。骨格筋特異的STAT3欠損マウスとdb/dbマウスの交配によって骨格筋特異的STAT3欠損db/dbマウスを作成した。骨格筋特異的STAT3欠損db/dbマウスの耐糖能はdb/dbマウスに比べて改善していた。またグルコースルランプによる解析により、耐糖能の改善は骨格筋のインスリンの抵抗性が改善によるものと考えられた。以上の結果から肥満動物で摂食後に分泌されるIL-6は骨格筋のSTAT3を活性化することにより、インスリン抵抗性を惹起すると考えられた。
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Research Products
(6 results)