2006 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞における化学伝達物質およびそのレセプターの制御機構の解明
Project/Area Number |
15082206
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 正身 北里大学, 医学部, 教授 (10318826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 誠 北里大学, 医学部, 助手 (30398581)
東 貞宏 北里大学, 医学部, 助手 (80348507)
阿部 輝雄 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50010103)
片岡 正和 信州大学, 工学部, 助教授 (90332676)
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Keywords | グリア細胞 / 化学伝達物質 / 神経伝達物質 / 開口放出 / SNAREタンパク質 / アストロサイト / リン酸化 / キナーゼ |
Research Abstract |
SNAKEタンパク質の一種であるSNAP-25は、神経のシナプスでの神経伝達物質放出や内分泌細胞からのホルモン分泌に必須の役割をはたしている。SNAP-25はPKCによってSer^<187>がリン酸化を受けるが、このリン酸化の役割を明らかにするためS187Aという1アミノ酸変異によるノックインマウスを作成したところ、顕著な情動異常やストレス脆弱性を示すことが明らかとなった。ストレスやストレスホルモンであるグルココルチコイドは脳のアストログリアに大きな作用を及ぼすことが知られているので、ホモ変異体の脳を抗GFAP抗体を用いて免疫染色したところ、海馬や大脳皮質を含む広い範囲で活性化アストロサイトが出現していることが明らかとなった。活性化アストロサイトの出現には部域差が見られ、小脳では認められなかった。アストロサイトの活性化は海馬のイムノブロット解析でも確認され、生後10週までに活性化が起こっていることも明らかとなった。それに対してミクログリアの活性化はより遅い時期にほぼ海馬に限局して起こっていた。この様なグリア細胞の異常活性化が、ホモ変異体で見られるさまざまな情動異常にどのような関連を持っているかを明らかにすることで、情動行動におけるグリア細胞の役割が明らかになると考えられた。PKCによるグリア細胞からの伝達物質放出制御機構を明らかにするため、株化されたラットアストログリオーマ細胞であるC6細胞を用いて解析を行った。C6細胞にヒト成長ホルモンを一過的に発現させると、細胞室内の小胞状の構造に蓄積され、イオノマイシンやセロトニン刺激で細胞外液に放出された。C6細胞をPKCの活性化薬であるPMAで前処理すると、成長ホルモン放出は抑制され、この抑制はPKC阻害剤で回復した。以上の結果はC6細胞においても、グリア細胞からの開口放出がPKCによって抑制的に制御されていることが明らかとなった。
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