2003 Fiscal Year Annual Research Report
H^+ーATP合成酵素等の機能制御におけるソフトな分子間相互作用
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15083203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿久津 秀雄 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (60029965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 宏昌 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (70332749)
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Keywords | H^+-ATP合成酵素 / cサブユニット / 溶液NMR / 区分標識法 / 固体高分解能NMR / マストパランX / 構造解析 / 安定同位体標識 |
Research Abstract |
本年度はH^+-ATP合成酵素の膜に埋まっている部分であるF_0ドメインを構成するcサブユニットの大量精製法を確立し、一定の^<13>C,^<15>N均一標識試料を得ることが出来るようになった。H^+-ATP合成酵素の水相F_1ドメインについては、触媒部位であるβサブユニットのリガンドによる構造変化の解析に溶液NMRを用いて取り組んでいる。βサブユニットは約52000の分子量を持ち、今までの方法では解析が困難である。そこで、中崎等が開発したインテインによる区分標識法を用いて均一標識された^<13>C,^<15>Nの信号の約90%を帰属するのに成功した。さらに、cサブユニットの固体試料について解析を行うために、固体高分解能NMR測定法の開発を行った。まずは、膜蛋白質を研究するモデルとして15残基のペプチド、マストパランX-Glyを対象として、一連の技術の開発に取り組んだ。固体NMRによって、結晶を作ることなく、脂質膜にある蛋白質の構造と機能を解析できる。^<13>Cと^<15>Nで完全標識したマストパランXの固体NMR信号を帰属するために、約5種類の2次元および3次元NMRパルス系列を開発した。これらを用い、主鎖の炭素・窒素とβ炭素について完全な帰属を行った。帰属によりわかる等方化学シフトと立体構造には相関がある。近年の新しい研究成果を利用して化学シフトより構造解析を行った。得られた構造は、2残基目は主鎖が伸びているが3から14残基目まではαヘリックスを作っているというものであった。さらに、構造間のRMSDとそれら構造に対応する化学シフト間RMSDの相関を調べた。その結果、得られたマストパランXの構造は、主鎖RMSDで1Å程度の精度があることがわかった。F_0F_1-ATP合成酵素cサブユニットについて、上記のような方法が適用できることを示すために、^<13>C均一標識試料について固体状態で、^<13>C2次元相関スペクトルを測定した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.K.Khithin: "Phase-modulated heteronuclear decoupling in NMR of solids"J.Magn.Resou.. 162. 46-53 (2003)
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[Publications] Y.Matsuki: "Band-selective recoupling of homonuclear double-quantum dipolan interaction with a generalized composite degrees pulse application to ^<13>C aliphatic region-selective magnetization transferin solids"J.Magn.Resou.. 162. 54-66 (2003)
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[Publications] Y.Matsuki: "Precision ^1H-^1H distance measurement via ^<13>C NMR signals : Utlization of the ^1H-^1H double-quantam dipolar interactions recoupled under MAS conditions"Magn.Resou.Chem.. 42. 291-300 (2004)
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[Publications] T.Fujiwara: "Signal assingments and chemicals-shift stractural analysis of uniformly ^<13>C, ^<15>N-labeled peptide. Mastoparan-X, Dy multidimentional solid-state NMR under magic-angle spinning"J.Biomol.NMR. in press.
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[Publications] M.Sato: "X-ray induced reduction of the chystal of high-molecular weight cytochrome C revealed by microspecthometry"J.Synchrotron Rad.. 11. 113-116 (2004)
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[Publications] T.Saitoh: "Correlation between the g tensors and the nonplanarity of porphyrin ningr in Desulfovibrio uulganis Miyazaki F cytochrome C3 studied by single crystal EPR"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 77. 357-363 (2004)
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[Publications] 阿久津秀雄 他3名編: "NMR分光法-原理から応用まで-(日本分光学会測定法シリーズ41)"学会出版センター. 260 (2003)