2004 Fiscal Year Annual Research Report
H^+-ATP合成酵素等の機能制御におけるソフトな分子間相互作用
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15083203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿久津 秀雄 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (60029965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 宏昌 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (70332749)
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Keywords | H^+-ATP合成酵素 / βサブユニット / 溶液NMR / 区分標識法 / 固体高分解能NMR / 構造解析 / 安定同位体標識 |
Research Abstract |
本年度はモノマーβサブユニットのリガンド結合による構造変化の実態を明らかにすることができた。βサブユニットは分子量5万のため主鎖の帰属は標識部位が異なる4種の区分標識体を作成して行った。その結果90%程度の主鎖の帰属を完了した。帰属したCα,Cβ,C',Nの化学シフト値からTALOSを用いて2次構造を推定し、ADPを加えた時に起こる化学シフト値の変化からおおよその構造変化領域を特定した。さらにN末端およびC末端のみが標識されているものでResidual Dipolar Coupling(RDC)をそれぞれについて測定し、N末端とC末端の相対配置の決定を試みた。2次構造予測、chemical shift perturbationの結果からこれらの領域は固い構造をとっていてヌクレオチドに対する影響もない部分である。RDCはN末端ドメインで65個、C末端ドメインで40個観測された。βモノマーのみの構造は報告されていないためα_3β_3の結晶構造からβサブユニット部分を使って計算値を求めた。観測されたRDCを全て使って実測値と計算値をフィットさせた場合両者に良い一致が見られなかった。これは計算値に正確なモノマーβの構造を使っていないことによるものと考えられる。よって2次構造をとっている領域のみでフィットを行った。その結果、比較的良い一致がみられ、それから求めたN末端とC末端の相対配置はADPがある場合ではopen、ない場合ではclosedに近い結果が得られた。以上よりβサブユニットはモノマーのみでもα_3β_3γ複合体で見られたようなopenからclosedへの構造変化を起こすことが示唆された。このことからリガンド結合によって引き起こされるβサブユニットの構造変化はF_1の回転の駆動力になりうることが示唆された。さらに、H^+-TP合成酵素の膜に埋まっている部分であるF_0ドメインを構成するcサブユニットの^<13>C,^<15>N均一標識試料を得て、有機溶媒中および固体での構造解析を進めている。前者については溶液NMRを用い、後者については固体NMRを用いている。前者は既に構造が見え始めており、後者については既に開発した一連の固体NMR技術を用いて、固体サブユニットcの^<13>Cと^<15>Nシグナルの帰属を進めている。
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Research Products
(6 results)