2006 Fiscal Year Annual Research Report
H^+ーATP合成酵素等の機能制御におけるソフトな分子間相互作用
Project/Area Number |
15083203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿久津 秀雄 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (60029965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 宏昌 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (70332749)
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Keywords | H^+-ATP合成酵素 / βサブユニット / 溶液NMR / 区分標識法 / 固体高分解能NMR / 構造解析 / 安定同位体標識 |
Research Abstract |
プロトンATP合成酵素は触媒部位を持つ膜表在性のF_1ドメイン(α_3β_3γδε)と、プロトンチャンネルを形成する膜内在性のF_oドメイン(ab_2c_<10-14>)から構成され、サブユニットcは10〜14個集まってドーナツ状のリングを形成している。F_oの中をプロトンが流れるとcリングが回転しATP合成を行う。われわれは好熱菌のサブユニットcの構造に関する考察とNa^+-ATPaseのcリングの結晶構造を総合することにより、cリングの新しい回転機構、sidechain flipping modelを提案した。サブユニットcリングは膜中に存在するので上記のモデルを確かめるためには固体NMRによる解析を行う必要がある。その第一歩として、大腸菌サブユニットc固体の固体高分解能多次元NMRによる解析を行った。試料はメタノールから沈殿させてつくった。今までに開発した多次元多核高分解能固体NMR測定法を用いて、約70%のシグナルの帰属に成功した。帰属シグナルの化学シフトを基に2次構造予測を行ったところ、有機溶媒中と同じようなヘアピン構造を取っていると推定された。したがって、サブユニットcのヘアピン構造は非常に安定なものであることが分かる。一方、膜結合状態の構造を解析する準備として、マストパランXの膜結合構造をペプチドの側と膜脂質の側から明らかにする方法論を開発した。これを用いてマストパランXと膜の構造を世界で初めて原子レベルで明らかにした。さらに、本年度は光合成細菌の巨大な集光装置であるクロロゾームにおけるバクテリオクロロフィルc集合体のロッド構造を固体NMRにより明らかにした。本構造を決定するために、プロトン駆動スピン拡散スペクトルから距離情報を得る方法(分極移動マトリックス解析法)を開発し、多くのクロロフィル間距離を得て、蛋白質と同じように分子動力学法により構造を決定した。
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Research Products
(11 results)