2007 Fiscal Year Annual Research Report
H^+-ATP 合成酵素等の機能制御におけるソフトな分子間相互作用
Project/Area Number |
15083203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿久津 秀雄 Osaka University, 蛋白質研究所, 招聘教授 (60029965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 敏道 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (20242381)
八木 宏昌 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (70332749)
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Keywords | H ^+ -ATP 合成酵素 / β サブユニット / 溶液NMR / 区分標識怯 / 固体高分解能 NMR / 構造解折 / 安定同位体標識 |
Research Abstract |
細菌や葉緑体におけるF_1-ATPaseのεサブユニットは、F_1複合体中でC末端ドメインが大きく構造変化することによってSTP加水分解反応の活性調節を行うと考えられている。好熱菌F_1-ATPaseのεサブユニット単体はATPを結合すると報告されている。われわれは、好熱菌F_1-ATPaseのεサブユニットとATP複合体のX線結晶構造を1.9Å分解能で決定した。得られた情報はATPが結合しており、C末端ドメインの二つのへリックスが折りたたまっていた。NMRによってC末端ドメインの溶解構造をATP存在下、非存在下で決定した。Atp存在下では、結晶構造と同時に二つのへリックスは折りたたまっていたのに対し、非存在下では折りたたまれないことが判明した。これに緩和解析の結果を考慮して、εサブユニットのC末端ドメインはATPの濃度変化に対応して折たたまったり、伸びたりの運動を行い、それがATP加水分解反応の活性調節に寄与しているということを提案した。これはソフトなサブユニット間相互作用が複雑なマシーナリーの機能を制御している典型的な例であるという事ができる。 固体NMRの方法論の開発としては、膜タンパク質はαへリックスを取りやすくシグナルの分離が悪くなるが、これをスペクトルシミュレーションと構造探索を組み合わせることにより克服する解析法を考案し、プログラムの開発を行った。これを膜結合マストパランXに適用したところ首尾よく帰属と構造決定を行うことができた。さらに、シグナル伝達との関係では脳下垂体ホルモンペプチドPACAP27の膜結合結合を固体高分解能NMR法で決定し、われわれの開発した方法の有効性を示した。この構造はミセル中で決定されたαへリックスと異なり、膜上に伸びた構造をとっていた。このことはPACAPペプチドのユニークな性質を示すものである。
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Research Products
(20 results)