2006 Fiscal Year Annual Research Report
ライゲーションケミストリーの展開に基づく膜蛋白質合成法の開発
Project/Area Number |
15083204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
相本 三郎 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (80029967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 徹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (70273711)
佐藤 毅 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (90403013)
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Keywords | 膜蛋白質 / 化学合成 / ライゲーション法 / ペプチドチオエステル / 合成法 / 補助基 |
Research Abstract |
N-4,5-ジメトキシ-2-メルカプトベンジル基を結合したペプチド結合は、トリフルオロ酢酸で処理するとN-S転位反応を起こしてチオエステルを生成すること、さらに長鎖ペプチド合成用の合成ブロックへも誘導できることを見いだし、本反応をペプチドチオエステル調製法として利用すべく詳細な解析を行ってきた。その結果、含水トリフルオロ酢酸中でN-S転位が加速されること、チオール-チオエステル交換反応によりペプチドチオエステルを総収率30%程度で合成できることが判明した.また、チオエステル部位を構成するアミノ酸残基のエピ化の割合は1%以下であった。 一方、ペプチドチオエステルを合成ブロックとして用いない長鎖ペプチド合成法を開発することにも成功した。との方法ではC末端にCys-Pro-ORの構造を有するペプチドを合成ブロックとして用い、システインをN末端にもつペプチドと混合するとペプチドを縮合させることができる。モデル実験により、良好な縮合収率を与えることが判明した。さらに、-Xaa-Cys-Pro-OR中のチオール基が遊離状態にあるとチオエステルを生成して縮合反応を起こすことができるが、チオール基に保護基を導入しておくとチオエステルが生成しないため、縮合反応は起こらない。この原理を利用し、N末端側にも、C末端側にもペプチド鎖を選択的に伸長させることのできるライゲーション法をデザインし、モデルペプチドの合成を通してその方法論の有用性を実証した。 上記研究と平行して、合成途上で遭遇する問題点の解決を図りつつ、ヒトF_1Fo-ATPaseサブユニットcの合成、opioid receptor like-1(ORL-1)のC末端部位の合成を行っている。また、EGF受容体のシグナル伝達機構の解明を目的として、EGF受容体の膜貫通ドメインおよびその近傍の合成を進めている。脂質二分子膜環境下での挙動を固体NMRを用いて解析する予定である。
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Research Products
(6 results)