2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア輸入装置と前駆体タンパク質の間のソフトな相互作用に基づく分子認識
Project/Area Number |
15083205
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神田 大輔 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80186618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前仲 勝実 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (10322752)
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Keywords | ミトコンドリア / Tom20 / プレ配列 / プレ配列受容体 / SS結合 / X線結晶構造 |
Research Abstract |
ミトコンドリアを構成するタンパク質の大部分は細胞質のリボソームで合成された後に、ミトコンドリアへと輸送される.ミトコンドリア・マトリクスへ輸送されるタンパク質はN末端にプレ配列が付加された前駆体として合成される.今年度はプレ配列受容体であるTom20サブユニットとプレ配列との複合体の結晶構造解析をおこなった. 我々は過去にTom20分子の細胞質ドメインとALDH由来のプレ配列との複合体のNMRによる構造決定をおこなっている.しかし,プレ配列の速い結合・解離の問題と,Tom20タンパク質のアグリゲーションの問題があった.そこで,Tom20の両末端にあるフレキシブル領域を削除した68残基からなるフラグメントを大腸菌で発現し,これにALDHプレ配列を分子間SS結合で固定した複合体を調製した.リンカーのデザインを多少変えることで,2つの異なる結晶を得て構造精密化を終了した.リンカー配列はYAGCとAAGCであり,YリンカーおよびAリンカーと呼ぶことにする.Yリンカー結晶(分解能2.1Å)は非対称単位中に7分子,Aリンカー結晶(分解能1.9Å,PDB 1WT4)は2分子が含まれていた.Y結晶ではすべてのTom20分子がプレ配列ペプチドを交換し,インターツインドダイマーを形成していた.ここから,5つのファンクショナルユニットを切り出した. Tom20タンパク質の68残基フラグメントは4本のαヘリックスからなり,最初の3本のαヘリックスがプレ配列を結合する溝を形作っている.NMR構造(溶液中,分子間SS結合なし)と比較すると,Tom20タンパク質の部分はほぼ同一であった.プレ配列ヘリックスの位置と方向もNMR構造と結晶構造でよく重なった.両方の結晶でTom20に認識される部分のアミノ酸配列部分(R^<14>LSRLL^<19>)はαヘリックス構造をとることがわかった.
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