2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア輸入装置と前駆体タンパク質の間のソフトな相互作用に基づく分子認識
Project/Area Number |
15083205
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神田 大輔 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80186618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前仲 勝実 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (10322752)
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Keywords | ミトコンドリア / Tom20 / プレ配列 / プレ配列受容体 / SS結合 / X線結晶解析 / NMR / 緩和時間解析 |
Research Abstract |
ミトコンドリアを構成するタンパク質の大部分は細胞質のリボソームで合成された後に、ミトコンドリアへと輸送される.ミトコンドリア・マトリクスへ輸送されるタンパク質はN末端にプレ配列が付加された前駆体として合成される.Tom20のNMR構造をもとにコア構造だけを切り出し,さらにプレ配列を分子間SS結合で固定した複合体を調製した.リンカーのデザインを多少変えることで,2つの異なる結晶を得て構造決定を行った.結晶1(分解能2.1A,2CUV)は非対称単位中に7分子,結晶2(分解能1.9Å,1WT4)には2分子が含まれていた.結晶1の結晶化では脱水とアニーリング操作が質の高い回折データを得るのに必須であった.プレ配列ペプチドはTom20分子表面の溝にαヘリックスを形成して結合していることが確定した。なお,人工的なSS結合を導入しないで,Tom20とプレ配列ペプチドを混合しても結晶は得られない. Tom20側の結合溝には疎水性ポケットは2つある.1つ目の疎水性ポケットは2つの結晶構造においてプレ配列ペプチドのコンセンサス配列φ_1χχφ_2φ_3(φは疎水性アミノ酸,χは任意のアミノ酸のうちφ_2を結合する.興味深いことにもうひとつの疎水性ポケットは,結晶1ではφ_1を結晶2ではφ_3を認識している.一方,認識されていない残りの疎水性残基はTom20タンパク質との接触はほとんどない.プレ配列は基本的にリジッドなαヘリックスを形成しているので,2つの認識様式が可能となるには,Tom20側の若干の構造変化とプレ配列ヘリックスの大きな動きが必要である.どちらか一方の構造だけではコンセンス配列を説明できない.したがって,プレ配列のコンセンサス配列φ_1χχφ_2φ_3をTom20が少なくとも2つの異なる結合様式を使って,動的に認識しているという極めて斬新な分子認識機構を示唆する.
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Research Products
(1 results)