2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア輸入装置と前駆体タンパク質の間のソフトな相互作用に基づく分子認識
Project/Area Number |
15083205
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神田 大輔 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 教授 (80186618)
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Keywords | タンパク質 / 分子認識 / 細胞内輸送 / プレ配列 / ミトコンドリア / Tom20 / 分子内ジスルフィド結合 / 複合体安定化技術 |
Research Abstract |
ミトコンドリアを構成するタンパク質の大部分は細胞質のリボソームで合成された後に, ミトコンドリアへと輸送される. ミトコンドリア・マトリクスへ輸送されるタンパク質はN末端に余分な配列(プレ配列)が付加された前駆体として合成される. 昨年度までに, 分子間SS結合により安定化したTom20・プレ配列複合体の高分解能結晶構造(1.9Å-2.1Å)を決定した. 本年度は分子内のSS結合を導入したプレ配列(GcRLCRLLSYA)を合成した. 小文字のcはD型のシスティンである. NMR滴定実験により, SS結合をかけていないペプチドに比べて親和性が100倍以上向上していた(K_d=1.4μM). Tom20コア構造との共結晶を得て, 構造決定を2.1Å分解能で行った. 以上で, 3種類の複合体の構造が得られたことになる. それぞれ全体構造はよく似ていた. しかし, プレ配列とTom20との胃で接触している原子の分布を調べると, プレ配列にはTom20への結合に必須な3個の疎水性残基(LXXLL)が存在するが, Tom20側には2つの疎水性部位しかなく, 3種の複合体において, 3つのロイシンのうち1つがTom20との接触が無いことがわかった. 見いだされた3つの複合体状態が互いに速い交換をする動的平衡状態にあると仮定する. 3つの状態それぞれが異なる組み合わせの2つの疎水性側鎖を認識するという不完全な認識を行うが, 速い交換があるために, 重ね合わせとしてTom20による3つの疎水性側鎖の認識が完成されるという「動的平衡認識メカニズム」を考えることができる. こうした動的なメカニズムを使うことで, Tom20はある瞬間には2つの疎水性側鎖のみを認識すればよいために, 多様な大きさを持つ疎水性側鎖に対してinduced fitメカニズムを使って対処できるのだと考えられる.
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Research Products
(6 results)