2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15084205
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
南方 暁 新潟大学, 法学部, 教授 (70125805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上石 圭一 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (80313485)
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Keywords | 非主題化 / 紛争回避 / 共同体的規制 / 人間関係 / 法律家へのアクセス / 法的リテラシー / 法と情報 / 主観的要素 |
Research Abstract |
(1)今年度は、本調査を前にして予備調査の準備を行った。本調査の目的は、「法的」紛争に直面している人々が何故法的手段に訴えないで紛争を回避したり、紛争に関与しないのか、その社会的な要因はどのようなものかを明らかにして、日本における紛争回避・躊躇行動の実態を明らかにするものである。人々の意識及び行動調査をするために、アンケート調査が計画されているが、その質問項目を本年度検討することにした。 (2)A01およびA02グループと研究会を共同でもち、予備調査のための調査票を作成するに当たっての基本的な視点や質問項目の適切性を検討した。 (3)この検討作業の前に、現実に紛争を経験した者に対してインタビュー調査を行い、紛争の発生から終結までこのような行動をどのような認識・意識のもとに行ったかについての情報を収集した。交通事故、訪問販売、近隣紛争、学校における紛争などに関して、法的意識が高く訴訟を辞さずという対応をした者から直接的な対応ではなく間接的に加害者へ要求を出す、あるいは長期的なタイムスパンを念頭に置いて被害とその回復を考えるなど、地理的、文化的紛争の性質などによる対応の違いが見られた。特に、非都市部においては利害の対立あるいは紛争が法的なものにまで展開しない現象が見られ、その要因もまた人間関係、地理的関係、利害関係そして歴史的要因が複雑に絡み合っていることが顕著に見られた。 (4)こうした、情報をもとにして、人々が紛争に巻き込まれた時に、それを紛争と認知しない、紛争と認知しても法的な手続まで考えない、紛争である以上法的処理を念頭において対応する、などの行動様式を考慮しながら、質問項目を作成した。 (5)予備調査を3月までに行い、その結果を分析し、人々の「法の非主題化」傾向についての像を得た上で、本調査のための一層精緻な質問票を作成する作業を行う。
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