2006 Fiscal Year Annual Research Report
機械センサー活性化におけるマイクロ・ナノ機構の解析
Project/Area Number |
15086207
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽我部 正博 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10093428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰巳 仁史 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20171720)
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Keywords | アクチン線維 / cofilin / 接着斑 / セミインタクト細胞 / zyxin / アルファーアクチニン / 内皮細胞 / メカノシグナリング |
Research Abstract |
あらゆる細胞は、機械刺激を受容して様々な応答を示す。この性質は、細胞の容積や運動の調節、循環器調節や重力感知に関わる極めて重要な機能である。その分子機構は長らく謎であったが、近年メカノセンサーの実体として、機械受容(SA)チャネルが発見され、急速に研究が展開している。本計画では、これらの成果を土台に、1)SAチャネルの活性化機構、2)機械受容における細胞骨格と接着斑の役割、および3)伸展依存性形態変化の細胞内メカノシグナリング機構の解明を目標としている。本年度は、特に、2)と3)を中心に研究を進め、以下の成果を得た。 1)stress依存的なストレス線維崩壊のナノ機構:我々は昨年度、アクチン線維切断因子であるcofilin存在下で、アクチン線維が張力の増加ではなく、むしろ弛緩で崩壊するメカノセンサーであることを見いだした。本年度は、in-vitro系でcofilinが弛緩したアクチン線維に選択的に結合して脱重合することを見いだした。またアクチン線維のin-silico再構成系を開発しその力学特性を解析した。 2)伸展刺激の感知における接着斑の役割:セミインタクト細胞を用いて伸展刺激の感知における接着斑の役割を解析し、接着斑蛋白質である、zyxinとアルファーアクチニンが刺激感知と力学依存的な接着斑の構造変化に重要であることを見いだした。 3)伸展依存性細胞形態応答のシグナル機構:培養血管内皮細胞に周期的な一方向伸展刺激を与えると、細胞はその長軸を伸展軸方向に垂直に向けた紡錘形へと形態変化する。カの方向感知を含むこの複雑なシグナル系において、ストレス線維の崩壊と方向依存的再形成、ストレス線維の崩壊とSAチャネル活性化に触媒された接着斑の崩壊とインテグリンのエンドサイトシスという一連のメカノトランスダクションプロセスが骨子であることが分かった。
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