2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋のマイクロレベルでの組織損傷解明と筋損傷解析モデルの構築
Project/Area Number |
15086208
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 英一 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (00111831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 幸治 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助教授 (80335075)
山本 創太 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (80293653)
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Keywords | 骨格筋 / バイオメカニクス / 力学特性 / マイクロ構造 / 力学モデル / 損傷評価 |
Research Abstract |
本研究では骨格筋のマイクロ構造の力学特性と受傷時のマイクロ構造・組織の特性を実験的に解明し,骨格筋損傷を評価,予測可能な筋損傷解析モデルの定式化を目指す. 平成18年度では,まず,筋束の力学特性および損傷特性を実験的に検討した.平成17年度までに開発した生体組織マイクロ力学試験システムの操作性を改善し,実験精度向上を図った.このシステムを用い,骨格筋から単離した筋束にひずみ負荷による損傷を与え,損傷生成時のひずみ量,ひずみ速度,筋活性状態が損傷前後での収縮特性,破断特性の変化に及ぼす影響を検討した.その結果,本実験で設定したひずみ負荷条件では筋束はほとんど損傷しないことが分かった.平成17年度までに実施した骨格筋ひずみ傷害実験結果と比較から,ひずみ傷害によるマイクロ損傷は筋周膜に生じた可能性が考えられ,筋周膜が取り除かれた筋束試験片ではひずみ負荷による損傷の影響がほとんどなかったと考えられる.また筋束の応力緩和試験を行った結果,初期ひずみが大きいほど緩和時間が短かった. 次に骨格筋組織の力学特性を表現する構成式モデルを定式化した.骨格筋組織の力学特性の横等方性,非圧縮性,粘弾性特性,収縮能,内部マイクロ構造の異方的な損傷発展を考慮するために,Holzapfelらのモデルに連続体損傷力学を導入したモデルを構築した.自由エネルギ関数を,体積変化成分,定積弾性変形成分,定積粘弾性変形成分の和として表した.ここで,横等方性の表現のために構造テンソルを導入した.それに線維の破断及び線維間の剥離などの異方的な損傷を表現するために2階の損傷テンソルを組み込んだ.構成式の適用性を検討するため,筋東力学試験の試験結果との比較検討を行った.その結果,実験結果が示す応カ-ひずみ関係のひずみ速度や筋活性に対する依存性を再現できた.また損傷の導入により,損傷による剛性の変化や破断を表現できた.
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