Research Abstract |
レーザ顕微鏡測定によるブタ培養血管内皮細胞の実形状データを用いて,細胞内に核を配置する有限要素モデルを作成し,基質変形下の細胞の3次元形状を核なしモデルの場合と比較した結果,細胞の高さ変化などにわずかな差異が見られた.また,繰返し変形を受けた内皮細胞内ストレスファイバの配向分布を細胞の孤立/隣接状態と細胞内高さ位置に関して整理して,基質の変形との関係を明らかにした. 動脈硬化性の血管病変をプラークの発達3段階にモデル化し,プラーク断裂の難易性をプラークの発達形状に応じた応力状態と関連づけた. 凍結保存,凍結手術,凍結形成術と関連して,複雑組織の凍結挙動と組織学的変化を解明した.すなわち,ブタ大動脈に対して,低温走査顕微鏡,および,電界放射型走査電子顕微鏡を用い,凍結挙動と組織学的形態のマイクロスケール特性を調べるとともに,本研究で考案した改良法により作成した凍結切片,および,凍結・融解後の試料のパラフィン切片に各種染色を施して,光学顕微鏡で検鏡した.その結果,試料の組織構造に依存した氷結晶の形態特性,および,組織学的変化特性に対する冷却速度の影響を明らかにした.また,弾性線維,膠原線維液相の3つからなる血管壁の構造モデルを用いて,凍結融解処理によるブタ大動脈壁の応力-ひずみ関係の変化を膠原線維の自然長分布の短縮化と関連づけて記述した. 衝撃波治療時の血管の微視的構造の状態変化を調べる簡単なモデルとして,底面壁に付着した1個の半球形の内皮細胞に対する水中平面衝撃波の伝播モデルを考え,汎用数値解析コードCFXとANSYSを用いて応力波の伝播解析をした.その結果,圧力の立ち上がり時間の上昇に伴い,細胞膜上でのせん断応力勾配などの応力勾配が細胞内で強くなり,静水圧刺激や立ち上がりの遅い圧力刺激に対して同じ圧力値でも衝撃波を使った刺激では細胞膜でのセンサーなどを刺激する可能性が高いことを示した.
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