2004 Fiscal Year Annual Research Report
スピン集積体の磁気的局所構造と機能発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
15087201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00155011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 悟朗 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00333592)
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Keywords | スピン集積体 / 磁気的相互作用 / 磁性金属酵素モデル / シアノ磁性体 / 超微細結合定数 / ナノ粒子 / 電子スピン密度 / 原子価互変異性 |
Research Abstract |
磁性金属イオンから複素環配位子へのスピンの染みだし 酵素活性中心に見られる磁性金属の配位構造の特徴を表すキーワードとして(i)「アミノ酸に含まれるイミダゾール配位子」や(ii)「SやN原子を配位原子とする配位子」などが挙げられる。今年度は(ii)を念頭に置いてCu(II)イオンにイミダゾール分子(Him)が配位した[Cu(II)(Him)_2Cl_2](1)に注目し、また(ii)を念頭に置いてSとN原子でCu(II)イオンにキレート配意するAMTTOを持つ[Cu(II)(AMTTO) Cl_2](2)などに注目し、それぞれの配位子の固体高分解能^2H-および^<13>C-NMRスペクトルによりCu(II)イオンから配位子上に誘起された超微細結合定数(電子スピン密度分布)を決定した。量子化化学計算ともあわせ、S原子上に電子スピンが大きく流れ込んでいることが解った。 Co,Mn/カテコール(Cat)・セミキノン(SQ)系のスピン・電荷ゆらぎ [Co(dpa)(3,5-di(t-Bt)-o-benzoquinone)_2]の固体状態における「原子価互変異性」を固体高分解能NMRにより調べたところ、得られた物質ではCo(II)リッチの相とCo(III)リッチの相が混在すること、420Kで発熱を伴ってさらにCo(III)リッチの相が増加する状態になること、さらにどちらの相でも「原子価互変異性平衡」が成り立っていることを見出した。[Mn(bpy)(3,6-di-(t-Bt)-o-benzoquinone)_2]では固体高分解のNMRにより、Mnとbenzoquinoneのスピン状態変化を独立に観測し、微視的な視点で「原子価互変異性平衡」のメカニズムを捕らえることに成功した。 反強磁性体ナノ微粒子のコアおよび表面近傍スピンの状態の解析 ネール温度70Kを示す反強磁性体ND_4MnF_3のナノ微粒子(〜30nm)の中心部分の電子スピン状態と表面近傍の電子スピン状態とを重水素化したアンモニウムイオンの重水素核をプローブとしたNMRスペクトルにより見分けることに成功した。〜30nmでも表面の影響を受ける部分は体積比で約6%あることも見出した。アンモニウムサイトで見たナノ微粒子の中心部分の内部磁場は4.2Kではバルク試料のそれと一致するが、ネール温度近傍では、バルクとは異なる臨界現象を引き起こすことも見出した。
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