2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピン集積体の磁気的局所構造と機能発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
15087201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (00155011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 悟朗 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (00333592)
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Keywords | スピン集積体 / 磁気的相互作用 / 反強磁性体ナノ微粒子表面スピン / シアノ磁性体 / 超微細結合定数 / ナノ微粒子 / 電子スピン密度 / 原子価互変異性 |
Research Abstract |
スピン・電荷ゆらぎ相関系:Coイオンとベンゾキノン配位子(BQ)との間で電荷移動を伴いスピン状態が変化(原子価互変異性)する多くの[Co(di-t-BtBQ)_2(NN配位子)]について固体高分解能^<13>C-NMR測定により研究した結果、結晶中での互変異性体間の変化の協同性が、BQの置換基位置やNN配位子の種類によって大きく変化することを見出し、「スピン・電荷ゆらぎ相関系」の多様性を解明した。また、高スピンCo(II)と低スピンCo(III)の交換速度や低スピンCo(III)状態でのセミキノンとカテコラートの状態変換速度も^<13>C-NMRおよび誘電率測定により多様であることを見出した。さらに、Mn錯体について量子化学計算によりMn(IV)/Mn(III)の変換のエントロピー変化ΔSを求め、原子価互変異性現象の主たるドライビングフォースであるΔSが電荷移動による分子内振動の変化に由来することをほぼ定量的に解明した。 ナノ粒子の表面近傍スピン状態:17年度までの、30nmの反強磁性体NH_4MnF_3ナノ粒子の研究成果にくわえ、ポリマー(PVP)被覆することにより、さらに小さい20nm,10nmのナノ粒子を合成することに成功した。粒子径を小さくするほど表面残留磁化が大きくなり、20nm程度でのみで特異的に残留磁化の0.1〜1000Hzでの緩和現象が起こることを発見した。また、ポリマー(PVP)被覆ND_4MnF_3ナノ粒子の重水素核固体NMRスペクトルにより、10nmのサイズでは内部磁場が極めて小さいことを見出し、この物質では反強磁性秩序化の限界サイズが10nm以上であることを見出した。20nmでは中心部の反強磁性秩序と表面部の大きな残留磁化の兼ね合いで磁化の緩和が起こると考えられる。 金ナノ粒子超格子結晶のメカニズム:領域内共同研究(木村)として、メルカプトコハク酸で被覆された金ナノ粒子の表面有機分子と水分子の結合状態、運動状態、脱離過程と金粒子の成長過程を、固体高分解能^<13>C-NMR、重水素核NMR、 TG-DTA-質量分析同時測定などにより研究した結果、有機分子および水分子の一部は硬く金表面に結合し、室温でもほとんど運動がなく、これが金ナノ粒子の外形を保つため、ナノ粒子が超格子結晶をつくると考えられる。
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Research Products
(2 results)