2004 Fiscal Year Annual Research Report
Nitronyl nitroxideによるNOの分子機能制御機構に関する研究
Project/Area Number |
15087207
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (20231798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芥 照夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (00346975)
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Keywords | Nitronyl nitroxide / NO / NOセンサー / NO消去剤 / NO分子機能制御 / PTIO / 細胞シグナル / 細胞保護作用 |
Research Abstract |
本年度は、NOによる8-ニトログアノシン生成とその細胞保護作用のメカニズム、および、nitronyl nitroxide誘導体、,2-phenyl-4,4,5,5-tetramethyl-1-oxyl3-oxide(PTIO)による8-ニトログアニン生成について、以下の解析を行った。 その結果、(1)生体内の8-ニトログアノシン生成を同定するため特異的抗8-ニトログアノシン抗体を作製した。この抗体を用いて、NOによる8-ニトログアノシンの細胞内生成を証明した。さらに、8-ニトログアノシンが、NOの生存シグナルに深く関わっていることが分かった。 (2)8-ニトログアノシンの一電子還元反応を介するスーパーオキサイド生成活性を解析した。その結果、8-ニトログアノシンが、チトクロームP450還元酵素や各種NOSアイソフォームなどのNADPH依存性還元酵素により一電子還元され、8-ニトログアノシンアニオンラジカルとなり、さらに、共存する分子状酸素を還元してスーパーオキサイドを産生することがわかった。すなわち、8-ニトログアノシンは、強力なレドックス活性を有しており、単なるニトロ化のバイオマーカー(footprint)ではなく、生体内のレドックス応答のモデュレーターとして機能する生体分子であるといえる。 (3)PTIOによる8-ニトログアニン生成促進作用について解析するため、HPLC-電気化学検出器(ECD)を用いて、8-ニトログアニンおよびその関連化合物の高感度検出システムを構築した。NOによる8-ニトログアニン生成反応については、生理的条件の水溶液中で、PTIO存在下NOとグアニンを反応させ、8-ニトログアニン生成をHPLC-ECDにより解析した。その結果、NOそのものでは有意な8-ニトログアニン生成は認められないが、PTIO添加により8-ニトログアニンが比較的効率よく(〜0.1%収率/NO)生成がすることがわかった。このことは、PTIOが8-ニトログアニン生成を介して、NOの細胞シグナルを調節する可能性を示唆している。 今後さらに、nitronyl nitroxide誘導体をNOセンサーあるいはNO機能制御剤として生物学・医学領域の研究に展開していく予定である。
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Research Products
(13 results)