2005 Fiscal Year Annual Research Report
Nitronyl nitroxideによるNOの分子機能制御機構に関する研究
Project/Area Number |
15087207
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (20231798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芥 照夫 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (00346975)
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Keywords | NO / 8-ニトログアノシン / 8-ニトロ-cGMP / レドックスシグナル / シグナル伝達 / 核酸にニトロ化 / ヘムオキシゲナーゼ-1 / 細胞死 |
Research Abstract |
我々は、NOによって核酸塩基であるグアニンが修飾され、8-ニトログアノシンが生体内で生成されることを免疫組織化学的に明らかにしてきた。さらに最近、8-ニトログアノシンの生体内生成が、NOのシグナル伝達機能に関与することがわかってきた。そこで、グアニンニトロ化を介するNOのシグナル伝達機構(ニトロ化シグナル)を解明することを目的として、8-ニトログアノシン関連化合物である8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'リン酸(8-ニトロ-cGMP)のシグナル伝達について解析を行った。 8-ニトロ-cGMPによるシグナル伝達:まず、本化合物の有機合成を確立した。合成した8-ニトロ-cGMPは、プロテインキナーゼGの活性化を介した強力な血管平滑筋弛緩作用を発揮したが、低濃度ではむしろ血管収縮活性が認められた。一方、各種培養細胞系において、8-ニトロ-cGMPは、細胞の生存シグナルのeffector分子であるヘムオキゲナーゼ-1(HO-1)の発現を誘導し、細胞死を抑制することがわかった。なお、この様な活性は、既知のcGMPアナログである8-Br-cGMPには認められず、8-ニトロ-cGMPがNOの新規シグナル分子として機能することが示唆された。 8-ニトロ-cGMPの細胞内生成:有機合成した8-ニトロ-cGMPのリポースの2位にサクシニル基を導入し、架橋剤WSCによりウシ血清アルブミン(BSA)のアミノ基と架橋させることにより8-ニトロ-cGMP-BSA結合体を調製した。これを免疫原としてマウスモノクローナル抗体を作製した。本抗体を用いて、各種培養細胞を免疾細胞化学的に検討したところ、NO産生に依存して細胞質に、8-ニトロ-cGMPが産生されることが示された。 今回の研究により、NOシグナル制御機能の新たな分子メカニズムとして、8-ニトロ-cGMP生成を介するユニークな経路が存在すことがわかってきた。興味あることに、8-ニトロ-cGMPが、他のニトログアノシン関連化合物に比較して、生理的条件下で非常に高いレドックス活性を有することも明らかになってきた。また、8-ニトログアニンが、ヒト尿中に排泄されことも証明することができた。 今後さらに、抗8-ニトロ-cGMP抗体を用いた各種組織、培養細胞の免疫組織化学的解析やLC-MS解析などを進めることにより、8-ニトロ-cGMPの生体内生成とそのシグナル伝達機構の解明に向けた研究を推進する予定である。
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Research Products
(12 results)