2003 Fiscal Year Annual Research Report
π共役スピン系の光励起状態のダイナミックスを利用したスピン整列
Project/Area Number |
15087208
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
手木 芳男 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00180068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 洋三 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50047312)
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Keywords | 分子磁性 / 光誘起スピン整列 / π共役スピン系 / πトポロジー / 光誘起磁性 / 光誘起電子移動 / 有機電荷移動錯体 / 分子素子 |
Research Abstract |
2003年度研究計画に記載した各項目についての進捗状況を以下に述べる。(1)時間分解ESRと過渡吸収測定をπ共役純有機スピン系に対して行い、光励起高スピン状態の基底状態への失活等の緩和過程、光励起高スピン状態の生成過程を解明した。π共役性の程度が異なる3種のラジカル(verdazyl, imino-nitrioxide, t-butylNitrixide)について検討した結果、時間分解ESR及び過渡吸収スペクトルの強度は、ラジカルのπ共役性の高い順になっている事が判明し、ラジカル付加とπ共役を通じた電子の非局在化による系間交差の増強機構を裏付ける証拠が得られた。(2)励起三重項-基底三重項系では、スピン許容遷移により系間交差より速く、基底状態へのエネルギー緩和が起こり結果として動的スピン分極した基底三重項状態が観測された。この、動的スピン分極機構は未解明であるが励起三重項-基底三重項系で初めて観測された特異なものである。(3)安定ラジカルドナー-アクセプタ-分子内集積系は、現在合成の途中段階にある。(4)有機磁性系でのLIEESTに向けた基礎的研究として電荷移動相互作用系の研究を試みた。光励起高スピン状態が形成される縮合多環安定ラジカル系の電子供与性を高める目的で、ジメチルアミノ基を導入した系を合成した。電気化学測定、光学測定及び磁化率を時間分解ESR測定により、予測どおり電子供与性を高め、かつ励起高スピン状態をとる分子を得ることに成功した。現在この系を用いた電荷移動錯体の育成を試みている。光励起高スピン状態をとる特性を維持したまま電子供与性を向上させる事に成功した結果、電荷移動励起高スピン系を実現する上での問題点の1つを解決できた。また、CT結晶系での予備的な時間分解ESR測定では、電子移動と関連すると見られる1本の強い分極したESR信号が観測されたが、詳細は次年度以降の課題である。(5)ナノ秒領域での時間分解ESR測定及びパルスODMR測定の為の装置の導入とセットアップを行った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Teki, M.Kimura, S.Narimatsu, K.Ohara, K.Mukai: "Excited High-Spin Quartet (S=3/2) State of a Novel □-Conjugated Organic Spin System, Pyrene-Verdazyl Radical"Bull.Chem.Soc.Jpn.(Selected Paper). 77. 95-99 (2004)
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[Publications] N.Roques, P.Gerbier, S.Nakajima, Y.Teki, C.Guerin: "The Exploration of Magnetic Photo-Excited States Using Organometallic Spin Couplers Based on the Silore Ring"J.Phys.Chem.Solid.. 65. 759-762 (2004)
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[Publications] Y.Miura, T.Nishi, Y.Teki: "ESR Studies of Nitrogen-Centered Free Radicals, part 58. Isolation and Magnetic Properties of Heterocycle-Carrying N-Alkoxyarylaminyl Radicals"J.Org.Chem.. 68. 10158-10161 (2003)
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[Publications] Y.Miura, Y.Nakamura, Y.Teki: "ESR Studies of Nitrogen-Centered Free Radicals, part 57. Ferromagnetic Behavior of Formyl-Group-Carrying Stable Thioaminyl Radicals"J.Org.Chem.. 68. 8244-8247 (2003)
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[Publications] Y.Miura, Y.Oyama, Y.Teki: "Magnetic Interaction of Pyridyl-Substituted Thioaminyl Stable Free Radical"J.Org.Chem.. 68. 1225-1234 (2003)