2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経可塑性及び脳の発生・分化におけるIP_3受容体/Ca^<2+>シグナリングの解析
Project/Area Number |
15100006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
御子柴 克彦 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30051840)
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Keywords | Ca^<2+> / IP_3 / IP_3 receptor / 2型,3型IP_3レセプターダブルノックアウトマウス / IP_3レセプターノックアウトマウス / 外分泌機能 / 唾液分泌 / 膵液分泌 |
Research Abstract |
IP_3レセプターは小胞体に局在し、細胞外からの刺激により産生されたIP3レセプターにより開くカルシウムチャネルである。IP_3レセプターには3種類ある。タイプ1型IP_3レセプターの遺伝子欠損マウスは小脳失調とてんかん発作を引き起こす。今回タイプ2型と3型の各々の遺伝子の欠損マウスを作製したが、ほぼ正常な行動をしていた。そこで、2型と3型のダブルノックアウトマウスを作製したが、ほぼ正常な行動をしていた。そこで2型と3型のダブルノックアウトマウスを作製したところ、垂液と膵液の分泌が大きく障害を受けていた。分泌液の量とアミラーゼの分泌もほぼ完全に障害されている状態であった。唾液腺と膵臓の腺細胞を用いてアゴニスト刺激によるIP_3の産生を調べると両者ともに差がなかった。しかし、細胞内カルシウムの上昇を調べたところ、唾液腺では顕著に減少し、膵臓の腺細胞では完全に消失していた。すなわちカルシウム上昇と消化液の分泌はIP_3レセプターのタイプ2型3型の欠損により引き起こされることが明らかとなった。そこで細胞の組織像をヘマトキシリン・エオジン染色及び、電子顕微鏡で調べたところ、分泌腺の細胞内には分泌顆粒がつまっていた。膵臓の腺細胞をとり、組織あたりのアミラーゼの量を調べたところ、正常とダブルノックアウトマウスでは差がなかった。このマウスでは細胞外からのカルシウム流入や、分泌に必要と考えられるSNARE蛋白質などは変化していないことは、IP_3レセプターからカルシウム放出が外分泌に必須であることが証明された。
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