2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経可塑性及び脳の発生・分化におけるIP3受容体/Ca2+シグナリングの解析
Project/Area Number |
15100006
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
御子柴 克彦 The Institute of Physical and Chemical Research, 発生発達研究グループ, グループディレクター (30051840)
|
Keywords | Ca^<2+> / IP_3 / IP_3 receptor / 2型,3型IP_3レセプターダブルノックアウトマウ / IP_3レセプターノックアウトマウス / 外分泌機能 / 唾液分泌 / 膵液分泌 |
Research Abstract |
IP_3レセプターは細胞内の小胞体に局在し、細胞外からの刺激により産生されたIP_3によって開くCa^<2+>チャネルである。IP_3レセプターは3種類存在し、各々IP_3、結合能が異なり、特有な細胞に発現してその細胞特有な機能を有している。我々は結晶構造を解いたSuppressor domainの各タイプとIP_3結合コアとのキメラタンパク質のIP_3結合実験結果から、Suppressor domainが各タイプのIP_3結合親和性を決定していることを証明した(J.Biol.Chem.2007、J.Neurochem.2007)。更に生体機能におけるIP_3レセプターの役割を明らかにするため、ノックアウトマウスの解析を精力的に行った。タイプ2型、3型のダブル欠損マウスでは唾液分泌障害、涙腺分泌障害、膵液分泌障害が起きる。全く同じ症状を呈するシェーグレン症候群やリューマチの患者を含めた2,000人近くの自己免疫疾患患者を検索したところ、50%以上の確率で血清中にIP_3受容体抗体が検出された(Clin.Rheumatol.2007、Modern Rheumatol.2007)。またタイプ2型、3型のダブル欠損マウスは穎粒細胞前駆体の分化や外穎粒層から内穎粒層への移動に異常が見られた。つまり小脳の発達における穎粒細胞の分化に、タイプ2型、3型を介したカルシウム放出が直接関わっているといえる(J.Neurochem.2008)。タイプ1型IP_3受容体は大動脈血管細胞に恒常的に発現しており、タイプ1型を欠損させた大動脈ではアゴニストに対する平滑筋の収縮が低下した(BBRC2008)。タイプ3型は味覚細胞に発現するが、IP_3レセプターと味覚の関係についてはわかっていない。タイプ3型欠損マウスは甘み、うまみ、苦みの刺激に対して異常反応を示した。タイプ3型は味覚の感知を仲介していると考えられる(J.Biol.Chem.2007)。
|