2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ制御された細胞認識素子の設計と生体計測・組織工学への展開
Project/Area Number |
15100008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤池 敏宏 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (30101207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 伊知郎 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (00361759)
渡辺 敏行 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10210923)
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Keywords | 細胞外マトリクス / 肝細胞 / 再生医工学 / ナノ粒子 / 細胞認識 / 光重合 / ナノ微細加工 / マトリクスデバイス |
Research Abstract |
平成15年度は、本研究テーマの目的の中心であるナノ制御型の細胞認識素子の設計、とその観察技術のための全射型一分子蛍光顕微鏡の立ち上げに従事した。PVLAを中心とした糖鎖高分子からなるナノミセルは、水中で表面に存在する糖鎖によって細胞から特異的な認識をうける結果が得られてきたため、本年度はそれらを、培養基質にコートし細胞の応答性について調査した(文献1)。さらに、細胞認識素子として細胞に取り込まれること、さらに、本年度に設計した糖鎖高分子が薬物包摂挙動を示すことなどを評価した。加えて、本年度は無機物の結晶化を利用した新しい高効率の遺伝子導入方法を開発した(文献2)。来年度にはこの結晶を、本年度に設計した細胞認識素子と複合させることによってさらなる飛躍をねらう予定である。 また、我々は既にいくつかの例を発表済みであるが、2種類以上のタンパク質活性部位を一つの発現ベクターに組み入れ、融合タンパク(キメラタンパク)として多機能的組み換えタンパク質を設計し、細胞認識素子として利用することを追求することを目的に、抗体のFc部分と細胞認識素子を融合させたキメラタンパクの合成を行った。この蛋白質をより高精度に精製することを目的にFc部分の遺伝子に改変を加え大量精製する為の準備を行った(文献3)。 さらに、本年度は設計したナノ細胞認識素子を分子レベルで評価するため、全反射型蛍光顕微鏡を作成した。従来の一分子蛍光顕微鏡では本研究の中心テーマである細胞の接着面のような複雑な表面部分の蛍光観察は困難であることから、レーザー入射角方向を自在に変更可能な新しいタイプの全反射型蛍光顕微鏡の立ち上げを行った。装置には備品にて購入したイメージインテンシファイア(C8600)を蛍光増幅器として利用し、分子レベルでの蛍光観察を実現化した。 一方渡辺グループでは、研究成果2光子吸収断面積の大きな開始剤および光電子移動効率の良い重合開始補助剤を開発し、2光子励起(近赤外光照射)によりハイドロゲルの重合に成功した。この手法を利用して、再生医工学用の細胞外マトリックス(ECM)として、幅550nm、長さ数ミクロンのハィドロゲルポストを作製した。このナノノポストの弾性率は架橋剤の濃度により2x10^3 Pa〜2x10^4 Paの範囲で1本ずつ制御することが可能である。また、このナノポストアレイ上で肝実細胞を培養し、細胞とECM間に働く張力を測定することができた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S-H.Kim, T.Hoshiba, T.Akaike: "Effect of carbohydrates attached to polystyrene on hepatocyte morphology on sugar-derivatized polystyrene matrices"J.Biomed.Mater.Res.. 67A. 1351-1359 (2003)
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[Publications] E.H.Chowdhury, T.Sasagawa, M.Nagaoka, A.K.Kundu, T.Akaike: "Transfecting mammalian cells by DNA/calcium phosphate precipitates : Effect of temperature and pH on precipitation"Analytical Biochemistry. 314. 316-318 (2003)
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[Publications] M.Nagaoka, T.Akaike: "Single amino acid substitution in the mouse IgGl Fc region induces drastic enhancement of the affinity to protein A"Protein Engineering. 16. 243-245 (2003)
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[Publications] S.Hernandez, H.Miura, M.Beristain, T.Ogawa, T.Watanabe, S.Miyata: "Novel Diacetylene-containing Polymers for Second order NLO Applications : Effect of Main chains and Structure Property Relationships"Macromolecular Symp.. 192. 123-133 (2003)
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[Publications] S-H.Kim, J-H.Kim, T.Akaike: "Regulation of cell adhesion signaling by synthetic glycoppolymer matrix in primary cultured hepatocyte"FEBS Letters. 553. 433-439 (2003)
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[Publications] Y.Lu, F.Hasegawa, T.Goto, S.Ohokuma, S.Fukuhara, Y.Kawazu, K.Totani, T.Yamashita, T.Watanabe: "Highly Sensitive Two-photon Chromophores Applied to Three Dimensional Lithographic Microfabricalion : Design Synthesis and Characterization Towards Two Photon Absorption Cross Section"J.Mater.Chem.. 14(1). 75-80 (2004)
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[Publications] 赤池敏宏: "日本産業の推進力「先端技術」『再生医療と人工臓器』"一橋フォーラム. 54 (2003)