2004 Fiscal Year Annual Research Report
氷床コアの高時間分解能解析による急激な気候・環境変動の解明
Project/Area Number |
15101001
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
藤井 理行 国立極地研究所, 極域観測系, 教授(副所長) (20125214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 孝吉 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (70135507)
吉田 尚弘 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 教授 (60174942)
本山 秀明 国立極地研究所, 研究教育系, 助教授 (20210099)
藤田 秀二 国立極地研究所, 研究教育系, 助教授 (30250476)
古川 晶雄 国立極地研究所, 研究教育系, 助手 (70261120)
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Keywords | 南極 / 気候変化 / 急激な気温変化 / 氷床コア / 高時間分解能解析 / 火山活動 / ドームふじ / 酸素同位体 |
Research Abstract |
1)融解連続分析・試料分注装置の整備:初年度の検討に基づき、融解連続分析・試料分注装置を新規導入した。また、本装置の制御系について、さまざまな検討を行った。本装置を設置するクリーンブースも導入し、装置運用の体制がほぼ整った。 2)高時間分解能分析の継続:初年度に引き続き固体AC電気伝導度測定と薄片試料透過光散乱強度測定を継続する。また、これら非破壊分析で用いたイベント試料に対し、化学主成分、過酸化水素、固体微粒子濃度の高時間分解能測定を開始した。 3)時間分解能の検討:氷床コアでは年層は氷の塑性変形により深さとともに薄くなるので、コアの高時間分解能解析は深度とともに難しくなる。これまでのドームふじコア固体DC電気伝導度の1mm分解能のデータからは、深さ1000m(約5.7万年前)までは、季節変動と思われる明瞭な変動を検出した。厚さ2mmの化学主成分分析を3部位について行い、Na+に季節変化と考えられるシグナルを抽出した4)気候・環境イベントの解釈の検討:700m深までのコアについて、陸域環境変動指標物質(ダスト、Ca^<2+>など)、海洋環境変動指標物質(Na^+、Mg^<2+>、Cl^-など)、海洋生物環境変動指標物質(MSA、非海塩性SO_4^<2->など)、火山活動指標物質(非海塩性SO_4^<2->、F^-など)、成層圏環境変動指標物質(NO^<3->など)、大気及び水循環場変動指標物質(Na/Cl、dパラメータなど)の数年スケールでの高時間分解能解析を行い、気候・環境イベントの解釈検討を開始した。 4)南極の局地効果を考慮してdパラメータの解釈をすすめ、海面水温の過去30数万年の変動を明らかにした。また、グリーンランドアイスコアとの対比から、北極での3万9千年前の温暖期に、南極が寒冷化(地上気温で約1.5℃、海面温度で4〜6℃)していたことを初めて見いだした。 5)大気成分の分析:乾式ガス抽出法により、アイスコア中の大気の二酸化炭素、メタンなどの分析を開始した。 6)ダストの化学組成の研究に着手した。 7)ドームふじコアとの対比研究として、ヨーロッパのチームが掘削したコーネンアイスコアの火山灰の組成解析に着手した。 8)研究会を開催し、研究成果や分析手法等の情報交換を行った。
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Research Products
(6 results)