2006 Fiscal Year Annual Research Report
氷床コアの高時間分解能解析による急激な気候・環境変動の解明
Project/Area Number |
15101001
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
藤井 理行 国立極地研究所, 所長 (20125214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 周司 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (00183129)
本山 秀明 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (20210099)
東 久美子 国立極地研究所, 研究教育系, 助教授 (80202620)
藤田 秀二 国立極地研究所, 研究教育系, 助教授 (30250476)
三宅 隆之 国立極地研究所, 研究教育系, プロジェクト研究員 (90390715)
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Keywords | 南極 / 気候変動 / 急激な気候・環境変動 / 氷床コア / 高時間分解能解析 / 火山活動 / ドームふじ / 酸素同位体 |
Research Abstract |
1.コア解析についての技術的進展 (1)融解装置 アイスコアの融解分注操作の特化を目指して検討を行った。この目的に沿った融解ヘッドを新たに導入し、コアの支持部分および分注部分についての導入および検討を行っている。より大容量のコアの分注が、さらに高速で処理できるものと期待される。 (2)コアの保存 従来低温室でのコアの保存には、通常よりもガス通気の少ないポリエチレン袋を使用していたが、どうしても内部に霜が発達する。今年度から、更にガス通気性の少ないアルミ製のポリ袋を使用した。これにより長期間保存による昇華およびガス通気によるコアの劣化を大きく低減することができた。 2.ドームふじ第二期コア深部の解析 ドームふじ深層コアの2400mから3028mまでの深層コアの半割り部分が年度初めに国内に持ち帰られた。この氷の年代を早急に決める必要があり、ドームふじ基地にてコア処理のときに発生した切削チップを持ち帰っていたので、この酸素同位体比分析を実施した。この結果と南極ドームCの同位体変動と比較することで、最深部の年代は72万年と推定された。予想されていた100万年に到達しなかったのは、氷床底面が不均一な融解をしていて、72万年より古い氷は失われてしまったという可能性が高いためだと現段階では判断される。化学成分とダストに関しては、おおよそ1.5m間隔で1個のデータが分析された。同位体に関しては50cm平均のデータが得られている。これらの解析から、44万年以前は氷期-間氷期の気温変動が小さいこと、しかし氷期中には急激な気候変動が生じていること、イオン濃度(フラックス)やダストの変動がドームCなどと、ほぼ同等の変動をしているなど、興味ある結果が見えてきた。今後、興味ある深さについて高時間分解能解析を実施する。 3.研究集会の実施 「南極氷床の物理・化学・生物のフロンティア(その3)」を開催した。話題としては、(a)コア掘削・コア研究・氷床環境の概況、(b)安定同位体や化学物理に関わるトピック、(c)各種起源の固体微粒子に関わるトピック、(d)大気と氷床の相互作用および大気成分、(e)結晶格子および光学層位の視点から、(f)宇宙起源の氷床コアシグナルおよび化学・生物連続詳細解析などがあり、最新の研究成果に関する情報交換を行った。
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Research Products
(13 results)