2006 Fiscal Year Annual Research Report
最高速AFMが解き明かす生物分子モーターのナノ構造ダイナミクス
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15101005
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安藤 敏夫 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (50184320)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / AFM / 高速AFM / バイオイメージング / ナノ動態 / タンパク質モーター / 走査速度 / フィードバック制御 |
Research Abstract |
本研究の内容は大きく3つに分けられる。 (1)高速AFMの性能を生物試料の観察に実用できるレベルにまで向上させるためのデバイス開発. (2)生物分子モーターのナノ機能動態撮影. (3)タンパク質の動態撮影に適した基板の開発. (1)デバイスの開発:AFMの高速化と探針・試料間にかかる力の軽減化のために去年度開発した種々のデバイス・技術を完成させ、それらを組み込んだ高速AFMを製作した。それに加え、デバイスの帯域向上と機械系のアクティブダンピングを実現する新しい逆伝達関数位相補償法、Zスキャナーの帯域を上げるためのピエゾ素子の新しい固定法を検討した。与えられた伝達関数に対する逆伝達関数を回路で実現することは、伝達関数が複雑な場合には容易ではなく、実現不可能な場合もある。そこで、任意の伝達関数に対する近似逆伝達関数を自動的に生成する回路を考案し、それを実際に作成し、カンチレバーの光熱駆動に対する遅れ位相補償、Zスキャナーのアクティブダンピングと帯域向上補償に適用し、十分な効果があることを実証した。実際この手法により、探針・試料間の距離制御を光によって行い、240nm四方の領域をビデオレートで撮影することに成功した。また、Zスキャナーの帯域を500kHzにまで向上させることに成功した。 (2)バイオイメージング:アクチン・ミオシンV系とGroEL・GroES系、ダイニンを中心にイメージングを行った。目的の観察に適した溶液条件を最適化することにより、また、カンチレバーの振動振幅を減らすことにより、アクチンフィラメントに沿ってミオシンVがHand-over-handで運動する様子を鮮明な画像として捉えることに成功した。また、GroELを側面を下にして基板に固定し、GroELの2つのリングがGroESに結合できるようにした。その結果、GroESが反共同的にリングに結合することを映像により実証し、また、この結合・解離の交換直前の中間状態として両リングにGroESが結合した状態があることを解明した。 (3)基板の開発:ビオチンを含む脂質2重層平面膜上にストレプトアビジンを2次元結晶状に展開した基板を安定に作成することができるようになった。これにより、ビオチン化やHisTag化したタンパク質を選択的に基板に固定できるようになった。
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