2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15101008
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宍戸 昌彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60026268)
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Keywords | 非天然アミノ酸 / tRNA / アミノアシル化 / ペプチド核酸 / 蛍光性アミノ酸 / 4塩基コドン |
Research Abstract |
非天然アミノ酸を蛋白質に導入する第1段階は,アミノ酸のtRNAへの担持(アミノアシル化)である。15年度はこの段階について集中的に研究し,以下の成果を得た。(1)アミノ酸活性エステルとtRNAとをミセル水溶液で混合することにより,50%以上の収率でアミノアシル化が起こることを確認した。また反応位置についても80%程度が本来の3'末端に反応していることが確認された。(2)アミノ酸活性エステルとペプチド核酸とを適当な長さのスペーサーを介して結合した分子(アミノアシルPNA)を作成した。これをtRNAと混合すると,tRNAの3'位置に特異的にアミノアシル化が起こることを確認した。またこの方法では種々のtRNA混合物中で特定のtRNAだけにアミノアシル化を起こすことが確認された。この方法を応用し,大腸菌細胞外生合成系中にアミノアシルPNA/tRNAの対を導入することによって,生合成系中で直接アミノアシル化を起こさせることが可能であることを見出した。したがって,合成生命体にはアミノアシルPNAの細胞内導入の段階だけを残すことになり,その実現可能性が具体的なものになった。 上のアミノアシル化においてtRNA識別分子としてはNielsenらの開発したペプチド核酸(PNA)を用いた。しかしPNAは水溶性に問題があり,その細胞内導入効率は高くない。そこで新たに水溶性に優れたペプチド核酸としてピロリジン環を含むオキシペプチド核酸(POPNA)を開発し,それとDNAやRNAとの相補対形成の安定性を調べた。 非天然アミノ酸として種々の蛍光性アミノ酸を開発した。とくに青色レーザーで励起可能な蛍光性アミノ酸としてアクリドニルアラニンが見出された。実際このアミノ酸を導入した蛋白質により,nMレベルの抗原やリガンドを蛍光で検出できることが示された。
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[Publications] 篠原寛明, 内田尚志, 藤井朗, 宍戸昌彦: "Addition of redox function to streptavidin by chemical conversion of the tyrosine residues to 3-aminotyrosine residues"Journal of Electroanalytical Chemistry. 543. 201-205 (2003)
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[Publications] 二宮啓子, 栗田知佳, 芳坂貴弘, 宍戸昌彦: "Facile aminoacylation of pdCpA dinucleotide with a nonnatural amino acid in cationic micelle"Chemical Communications. 2003. 2242-2243 (2003)
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[Publications] 佐々木裕司, 池田和正, 二宮啓子, 宍戸昌彦: "Incorporation of Anthraquinonyl Group into λ-Cro Repressor Protein for Strand-and Position-Specific Photocleavage of Double-Stranded DNA"Biopolymers, Peptide Science. (印刷中). (2004)
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[Publications] 芳坂貴弘, 村中宣仁, 小宮山千絵, 松井絹枝, 高浦里美, 阿部亮二, 村上裕, 宍戸昌彦: "Position-Specific Incorporation of Dansylated Nonnatural Amino Acids into Strepotavidin by using a four-base codon"FEBS Letters. (印刷中). (2004)
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[Publications] 宍戸昌彦: "生化学システムの拡張と非天然アミノ酸のタンパク質への導入"生物工学会誌. 81(9). 386-391 (2004)