2004 Fiscal Year Annual Research Report
斬新な特定位置占拠型配位子の設計と高配位典型元素化合物の創製
Project/Area Number |
15105001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 隆幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70262144)
狩野 直和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00302810)
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Keywords | X線結晶構造解析 / デンドリマー / シラノール / カルボキシラート / ジシラン / ジチオカルボキシラート / キャビティー / 三方両錐構造 |
Research Abstract |
1.デンドリマー(Den)置換基の開発と5配位ケイ素化合物の合成については、2-ブロモ-1,3-ジイソプロピルベンゼンから調製したグリニャール試薬に1,3,5-トリブロモ-2-ヨードベンゼンを反応させ、臭化2.2",6.6"-テトライソプロピル-m-テルフェニル-5'-イル(DenBr)を合成した。次に、これからDenLiを調製し、SiCl_4との反応によりDen_2Si(OH)_2を得た。これに、HFを作用させDen_2SiF_2に変換後、再度DenLiを反応させ、Den3SiFを合成した。これを加水分解することで、シラノールDen_3SiOHを得た。このX線結晶構造解析を行い、以前に合成したメチル置換体と比較した結果、三つのデンドリマー置換基がより垂直に立った配座(O-Si-C-C二面角が小さな配座)を有しており、キャビテイーの深さが増大していることがわかった。これらの結果から、5配位化合物に誘導した際にはデンドリマー置換基のエクアトリアル占拠性がより高まると期待される。5配位化合物への変換については現在検討中である。 2.カルボキシラート配位子を四つ有するジシランを合成し、対応するジチオカルボキシラート体と構造の比較を行った。X線結晶構造解析により、後者のジシランでは各ケイ素原子が弱い硫黄-ケイ素間相互作用により7配位状態にあるのに対し、前者のジシランでは二つのカルボキシラート配位子が上下で架橋した三方両錐構造であり、ジシラン結合を介して二つのケイ素上の四つの原子を同一平面上に固定することに初めて成功した。また、1,2-ビスカルボキシラート体では、カルボニル酸素と隣のケイ素の間の弱い相互作用を見出した。理論計算を行うことによって、カルコゲン原子上の孤立電子対とケイ素-カルコゲン結合のσ*軌道間の相互作用の大きさから、配位子の数および構成元素の違いに伴う結晶構造の相違点を説明することができた。また、四つのジチオカルボキシラート配位子を有するジシランと単体硫黄との反応により、ヘキサチアテトラシラアダマンタンの生成という特異な反応性を見出した。
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Research Products
(14 results)