2005 Fiscal Year Annual Research Report
斬新な特定位置占拠型配位子の設計と高配位典型元素化合物の創製
Project/Area Number |
15105001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 隆幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70262144)
狩野 直和 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (00302810)
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Keywords | 高周期14族元素化合物 / 7配位化合物 / 4座配位子 / 1-アクオ-5-カルバシラトラン / 三方両錐構造 / 酸性度 / Atoms in Molecules解析 |
Research Abstract |
トリアリールメチル型4座配位子を有する7配位高周期14族元素化合物の合成 オルト位に3つのメトキシ基を有するトリアリールメタンを、我々が開発した方法によりリチオ体へと変換し、引き続くSiCl_4,GeCl_4およびSnCl_4との反応によって、それぞれ対応する7配位トリハロメタランAr_3CMCl_3(Ar=2-MeO-5-t-BuC_6H_3-;M=Si,Ge,Sn)を合成した。およびゲルマニウム類縁体についてはフッ化物、臭化物およびヨウ化物類縁体へと誘導した。これらの化学種についてそれぞれX線解析を行い、結晶中においてメトキシ基の酸素原子と中心14族元素との間に相互作用が存在し、中心元素が7配位構造をとっていることを見出した。また、^<29>Si NMRの高磁場シフト、および^<13>C NMRにおいてメトキシ炭素原子の低磁場シフトが観測されたことから溶液中においても同様に相互作用を維持していることが示唆された。これらの系統的比較研究において、ハロゲン原子の電気陰性度が高まるにつれ、相互作用が強くなっていることがわかった。また、この相互作用の存在は理論計算のAtoms in Molecules解析によっても支持された。 5-カルバシラトランの合成 上述のAr_3CSiCl_3に対し、BBr_3を用いて脱メチル化を行い、エタノールで反応処理を行ったところ、4配位カルバシラトランにエタノールが配位した、1-エチルオキソニオ-5-カルバシラトランが得られた。これを水処理したところ、1-アクオ-5-カルバシラトラン1へと定量的に変化した。X線解析の結果、1は三方両錐構造をしており、水素結合を介した2量体構造であり、中性条件でのアルコキシシランの加水分解反応の遷移状態のモデルとなりうることがわかった。また1と各種塩基との反応により1の水分子のプロトンの酸性度は10-13pKaユニット高くなっていることが明らかとなった。
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