2006 Fiscal Year Annual Research Report
斬新な特定位置占拠型配位子の設計と高配位典型元素化合物の創製
Project/Area Number |
15105001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 隆幸 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 直和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (00302810)
小林 潤司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90334242)
後藤 敬 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70262144)
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Keywords | アラトラン / クラスター / トリアリールホスフィン / トリアルキルアルミニウム / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
オルト位に3つのヒドロキシ基を有するトリアリールホスフィンに対し、1当量のMe_3Alを反応させたところ、5-ホスファアラトランが生成した。FAB-MSおよび、27AlNMRより、5-ホスファアラトランは溶液中で二量体として存在し、アルミニウム原子とリン原子の間には結合が存在しないプロアトラン構造であることがわかった。一方、Me_3Alを2当量用いて反応を行ったところ、クラスター状の化合物が得られた。この化合物はアルミニウム原子に対して、2つのトリアリールホスフィン配位子が配位することで、中心アルミニウム原子が6配位構造をとり、さらにトリアリールホスフィン上の酸素原子が3つのアルミニウム原子によって架橋されていた。すなわち、この化合物はアルミニウム4核のクラスター化合物であり、6配位のアルミニウム原子を1つ、4配位のアルミニウム原子が3つ存在するというアルミニウムの混合原子価状態をとっている興味深い化合物であった。さらにこのクラスター化合物にピリジンを作用させたところ、Me_3Alのピリジン錯体とともに5-ホスファアラトランの二量体が生成し、さらに5-ホスファアラトランの二量体に対し、1当量のMe_3Alを反応させたところ、クラスター化合物が再生したことから可逆的に両者を変換できることがわかった。またMe_3Alに代えてEt_3Alを用いた場合にも同様なクラスター化合物を与えた。これらクラスター化合物は空気中安定な化合物であり、かつ反応過程において形式的にトリアルキルアルミニウムを取り出せることから、通常空気中では不安定なトリアルキルアルミニウムの貯蔵物質として機能しうると期待される。
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