2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15105005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10113424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 賢一 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (60262143)
宮崎 章 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (40251607)
高井 和之 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (80334514)
針谷 喜久雄 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (00357823)
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Keywords | エッジ状態 / 走査トンネル顕微鏡 / ナノグラファイト / 分子磁性 / 磁気スイッチ効果 / 気体吸着 / ミュオン緩和 / 電荷移動 |
Research Abstract |
(1)ナノグラファイトネットワークからなる多孔性活性炭素繊維(ACF)の気体吸着に伴うエッジ状態スピンの磁性の変化の磁化率、ESR、μSRによる解明を行った。磁化率測定の結果から、ナノポア中での吸着によるAr凝集はその沸点(87K)よりかなり高い室温付近から徐々に起こり、沸点においてナノポアは完全に吸着Arで占有されることが明らかとなった。ESRの線幅は無吸着ACFでは室温からHe温度までの測定全温度領域で温度依存性は持たないが、Ar吸着試料では、Arの沸点以下で急激な線幅の増加が観測された。また、μSRは無吸着試料、Ar吸着試料とも、沸点以上ではローレンツ型の緩和を示し、交換相互作用により線幅の先鋭化が起こっているが、沸点以下においてはミュオンスピンの回転が観測され、ナノグラファイトのエッジ状態スピンが磁気秩序を形成していることが明らかとなった。このことは、ナノポアに凝集したAr分子がナノグラファイトドメインに実効的圧力をかけ、ドメインを構成するナノグラフェンシート間の相互作用が増大した結果であると思われる(磁気スイッチ子効果)。 (2)活性炭素繊維のナノポアへの酸(HNO_3、HCl)への吸着による電子状態の変化を調べた。濃HNO_3の吸着では、ナノグラファイトとHNO_3の間での大きな電荷移動効果の存在が明らかとなった。希HNO_3及びHClにおいては、磁気スイッチ効果による磁気状態の変化が観測された。 (3)超真空極低温トンネル顕微鏡を用いて、グラフェン孔の端での超高真空下でのエッジ状態の観測を行った。グラフェン孔はAr気流中で1000℃までの温度条件下で作成した。温度の上昇とともに、孔径が小さくなること、及び、孔の端が比較的アームチェア型をし易いことが明らかとなった。グラフェン孔の端炭素を水素終端し、液体ヘリウム温度でのトンネル顕微鏡観察を行い、STM像に温度ドリフトのないことが観測され、グラフェン端の原子分解能での格子像、局所状態密度の観測を継続している。
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Research Products
(11 results)