2005 Fiscal Year Annual Research Report
高耐久性フォトクロミックジアリールエテンを用いる単一分子光メモリ
Project/Area Number |
15105006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
入江 正浩 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30001986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 建児 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (80262145)
深港 豪 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80380583)
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Keywords | 単一分子計測 / フォトクロミズム / 蛍光 / ジアリールエテン / 共焦点顕微鏡 |
Research Abstract |
分子一つ一つに光情報を記憶させる究極の光メモリ「単一分子光メモリ」の実現をめざし、光メモリ分子の合成と単一分子光応答機能の評価をすすめた。高耐久性フォトクロミックジアリールエテンを光スイッチ部とし、高効率蛍光分子ペリレンを蛍光部とするペリレンーアダマンチルー反応部位にメトキシ基を1個有するジアリールエテンからなる新規光メモリ分子を合成し、その単一分子の蛍光光スイッチ挙動を計測した。 昨年、蛍光部としてアントラセンをもつ光メモリ分子を用いて単一分子レベルでの光スイッチの光応答時間を測定したところ、非常に大きなばらつき(ゆらぎ)があり量子収率にゆらぎのあることが示唆された。しかし、この分子では数回しか光スイッチを繰り返せなかったことから、このゆらぎが単一分子固有のものか、微環境の違いによるものかを判断できなかった。今回、多数回繰り返し可能なペリレンを蛍光部とする光メモリ分子を用いて同一微環境での単一分子の光応答挙動の計測を行った。その結果、同一微環境においても、光応答時間にばらつきがあり、ゆらぎは単一分子光反応に特有の現象であることが確認された。微環境が光反応性におよぼす効果を明らかにすることをめざして、この光メモリ分子を、アモルファスポリオレフィンのみならず、PMMA, Poly(n-butylmethacrylate)など、種々のTgあるいは官能基をもつ高分子媒体に分散して、光応答挙動を計測した。その結果、Tgが室温より高いアモルファスポリオレフィン、PMMAでは、光応答時間の分布にピークが現れるが、Tgが室温付近であるPoly(n-butylmethacrylate)では、分布が指数関数になることが認められた。この違いは、フォトクロミック分子が光励起回数を記憶する「メモリ効果」があるか、ないかによることが示唆された。この「メモリ効果」は、単一分子レベルでの反応において初めて見出された新しい現象である。
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Research Products
(6 results)