2006 Fiscal Year Annual Research Report
高耐久性フォトクロミックジアリールエテンを用いる単一分子光メモリ
Project/Area Number |
15105006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
入江 正浩 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (30001986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 建児 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (80262145)
深港 豪 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (80380583)
山口 忠承 九州大学, 大学院工学研究院, 特任助手 (60295722)
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Keywords | 単一分子測定 / フォトクロミズム / 蛍光 / ジアリールエテン / 共焦点顕微鏡 |
Research Abstract |
分子一つ一つに光情報を記憶させる究極の「単一分子光メモリ」の実現をめざして、光メモリ分子の合成と単一分子レベルでの光応答挙動の解明をすすめた。昨年、ペリレン-アダマンチル-反応部位にメトキシ基を1個有するジアリールエテンからなる光メモリ分子の単一分子での蛍光光スイッチ挙動を計測したところ、その光応答挙動が分子の置かれた微環境に強く依存することを見出した。今年度は、この微環境の光反応におよぼす影響を実験と理論の両面から詳細に検討した。Tgが室温付近の高分子媒体をもちいると、応答時間のヒストグラムは指数関数的となり、軟らかい媒体中では光反応の量子収率が一定であることが確認された。しかし、Tgが100度以上の硬い高分子媒体中ではヒストグラムがピークをもつことが認められ、これは、光メモリ分子が何度か光励起がされてはじめて光反応すること、すなわち量子収率が光励起回数に依存することを示している。この依存性を理論的に解析して、硬い高分子媒体中においては、励起状態、基底状態のポテンシャル曲面に多くの局所ミニマムが存在し、そのことにより量子収率が光励起回数に依存すると解釈された。 非破壊読み出しを可能にする「電子移動型消光」機構で働く光メモリ分子の設計と合成を試みた。閉環体の吸収を短波長化し、エネルギー移動消光を回避することを目的として、硫黄をスルフォン基に変えたジアリールエテンを合成し、ペリレンビスイミドと連結した光メモリ分子を合成した。トルエン中では、光閉環反応によりペリレン蛍光は消光されないが、アセトニトリルなどの極性溶媒中では光閉環反応に伴い蛍光が消光されることが認められ、電子移動型消光機構で働く光メモリ分子の合成に成功した。しかし、この開環反応量子収率が極端に低い欠点をもつ。この欠点を克服することをめざす。
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Research Products
(6 results)