Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雄二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80222066)
鹿園 直毅 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30345087)
牛田 多加志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50323522)
古川 克子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (90343144)
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Research Abstract |
白血病,臓器不全などの治療手段として注目されている体性幹細胞による治療は,FACS(Fluorescence Activated Cell Sorting System)およびMACS(Magnetic Cell Sorting System)によって幹細胞を分離するステップが必須であるために,高価な設備投資,熟練技術者の確保,体外循環による幹細胞の連続採取が困難など多くの問題を抱えており,未だ一般的な治療手法として確立されていない.本研究では,血液あるいは骨髄液中に微量に存在する幹細胞を効率よく高速に抽出する手法の開発,および,そのためのマイクロ流路における熱流動場の計測手法の開発,数値解析コードの開発を進めている. まず,末梢血からの体外循環システムによる体性幹細胞を含む細胞群の連続分離採取システムの構築を目標に,任意の抗体を結合させた抗体パターン化基板を用いて,有用細胞の連続採取システムの構築を試みた.温度感受性ゲルにアビジンを含ませたゲルをパターン化した基板材料にビオチン標識ターゲット抗体を結合させることによって,任意のターゲット細胞群のみを採取することに成功した.温度感受性ゲルの相転移点を越える範囲で温度を制御することによって,パターン化基板プレートからの容易な細胞分離を実現した. また,上記の連続分離採取システムで取得した細胞群からの幹細胞の精密分離,および,微小な細胞サンプルからの幹細胞分離を目的として,マイクロセルソータのプロトタイプをマイクロマシン技術により製作した.ラミネーションを用いて細胞群と磁性粒子を混合,目的細胞のみに磁性粒子を付着させるマイクロ混合器,マイクロコイルを用いて磁性粒子が付着した細胞をマイクロ流路中で連続的に分離する分離器を設計・試作した.予備実験として,HUVEC細胞と磁性粒子を流し,CD31を表面マーカとして用いた抗原抗体反応によって,細胞と磁性粒子が付着した細胞を良好に分離できることを明らかにした.さらに,より微小なサンプルを扱う目的で,ガスクロマトグラフィと同様の表面効果を用いたマイクロセルソータを試作した.これらのマイクロ流路内の流れを3次元的に計測するためのスキャニングマイクロPIVシステムを構築し,良好な測定データが得られることを示し,測定誤差の評価を行った.
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