2003 Fiscal Year Annual Research Report
既知および未知の細胞間シグナル分子による植物形態形成の調節
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15107001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柿本 辰男 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70214260)
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Keywords | 細胞間シグナル分子 / サイトカイニン / 分泌小ペプチド / 気孔 / サイトカイニン合成酵素 / サイトカイニン受容体 / 多重突然変異体 / 硝酸イオン |
Research Abstract |
植物の形態形成には、動物の場合と同様に、細胞間のシグナル分子が重要な役割を果たしている。これらのうち、いわゆる植物ホルモンと言われる低分子の情報伝達分子は良く知られているが、これら以外にも多くの未知のシグナル分子が存在すると考えている。そこで、本研究では、既知の植物ホルモンがどのように形態形成に関わっているのかを深く追求するとともに、新規のシグナル分子をできるだけ多く同定し、その役割を解明していく。まず、既知の植物ホルモンであるサイトカイニンがどのような仕組みで形態形成を制御しているのかを追求した。そのためには、サイトカイニンの合成と受容の両方の仕組みの解明が必要である。サイトカイニン合成酵素は私達が発見したものであるが、シロイヌナズナにはこれをコードする遺伝子が7つ存在する。これらがそれぞれどの組織で発現し、その発現はどのような制御を受けているのかを詳しく調べた。例えば、その一つ、AtIPT3は篩部で発現し、硝酸イオンによって誘導される。これらすべての遺伝子破壊株を取得している。AtIPT3の破壊株では、硝酸イオンによるサイトカイニン量の上昇が抑えられており、サイトカイニンを介した硝酸イオン応答に関わっていることが示された。現在これらの遺伝子破壊株の多重突然変異体の解析を行っているところである。また、三つあるサイトカイニン受容体すべての遺伝子を破壊した3重突然変異体を作成したところ、非常に小さいが、驚くべきことにある程度生存することができた。この突然変異体ではサイトカイニン応答は完全になくなっているので、基本形態の形成にはサイトカイニンのシグナルが必要無いことを示している。新奇のシグナル分子としては、分泌性小ペプチドを狙った。今年度見い出した因子のうち、No20ファミリーと呼んでいる遺伝子群は、メリステモイドと気孔で発現し、気孔密度と気孔の配置を制御している。NO67は、葉肉細胞で発現し、気孔形成を正に制御している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miyawaki, Kaori: "Expression of cytokinin biosynthetic isopentenyltransferase genes in Arabidopsis : tissue specificity and regulation by auxin, cytokinin, and nitrate"The Plant Journal. 37. 126-136 (2004)
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[Publications] Kakimoto, Tatsuo: "Perception and signal transduction of cytokinins"Annual Review of Plant Biology. 54. 605-627 (2003)
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[Publications] Kakimoto, Tatsuo: "Biosynthesis of cytokinins"Journal of Plant Research. 116. 233-239 (2003)
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[Publications] Kakimoto, Tatsuo: "Perception and signal transduction of cytokinins"Regulation of Plant Growth and Development. 38. 48-57 (2003)
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[Publications] 柿本辰男(共著): "植物の環境応答と形態形成のクロストーク"シュプリンガーフェアラーク東京. 230 (2004)
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[Publications] 柿本辰男: "植物ホルモンのシグナル伝達"秀順社(印刷中). (2004)