2004 Fiscal Year Annual Research Report
既知および未知の細胞間シグナル分子による植物形態形成の調節
Project/Area Number |
15107001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柿本 辰男 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (70214260)
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Keywords | サイトカイニン / 細胞間シグナル分子 / サイトカイニン受容体 / 気孔 / AtIPT / CRE1 / サイトカイニン合成酵素 |
Research Abstract |
植物の形態形成には、動物の場合と同様に、細胞間のシグナル分子が重要な役割を果たしている。本研究では、既知の植物ホルモンがどのように形態形成に関わっているのかを深く追求するとともに、新規のシグナル分子をできるだけ多く同定し、その役割を解明していく。 既知ホルモンとして、特にサイトカイニンの合成系、受容伝達系について調べた。シロイヌナズナでのサイトカイニン合成酵素(ATP/ADPイソペンテニル基転移酵素)遺伝子群は7つのメンバー(AtIPT1,3,4,5,6,7,8)からなる。atipt1 3 5 7四重変異体は地上部の成長が悪いが、根はむしろ長い。予備的にサイトカイニン量を測定したところ、イソペンテニルアデニンとt-ゼアチン、およびこれらのリボシド型の量が大きく低下していることがわかった。このことは、これら遺伝子産物が、植物体内でのサイトカイニンの合成に必須の役割を果たしていることの証拠となった。しかし、cis-ゼアチンリボシドは低下していなかった。cis-ゼアチンの合成にはAtIPT2が重要な役割を果たしていることもわかってきた。 シロイヌナズナにはサイトカイニン受容体が三つ(CRE1,AHK2,AHK3)存在する。CRE1から、下流因子への情報伝達の仕組みを知るため、in vitroのリン酸リレー系を構築し、in vitroでサイトカイニンに応答したリン酸リレー系を再構築することに成功した。 新規の細胞間情報伝達因子としては、気孔パターニングの制御因子に関する解析を行った。通常、気孔は互いに隣接しないように形成される。Gene20-9,Gene20-10は、メリステモイド(孔辺細胞の前駆体)で発現しており、細胞外分泌シグナルを持つタンパク質をコードする。これらの遺伝子を過剰発現すると気孔形成が抑制され、二重変異体では気孔が隣接して形成されることを見いだし、これら遺伝子が気孔パターニングにおける側方阻害因子であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)