2005 Fiscal Year Annual Research Report
解毒・排出器官としての消化管-食品因子によるその制御機構の分子基盤解析
Project/Area Number |
15108002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30114507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 俊彦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (00115536)
内田 浩二 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (40203533)
薩 秀夫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (80323484)
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Keywords | 消化管 / 腸管上皮細胞 / 解毒酵素 / 排出トランスポーター / 食品因子 / Caco-2 |
Research Abstract |
(1)界面活性成分による薬物排出トランスポーターMDR1の抑制が示唆されたことから、食用乳化剤の作用をヒト腸管Caco-2細胞を用いて解析した。Tween20のような界面活性剤はMDR1活性を抑制したが、多くの食用乳化剤はMDR1よりも細胞膜に作用してマーカー物質の細胞内への透過性を高めることが示唆された。 (2)PXR応答領域を組み込んだレポーターベクターと核内受容体RXRを腸管上皮細胞に発現させたレポーターアッセイ系を用いて、PXRを介して解毒排出機能の調節をおこなう食品因子の探索を進めた。その結果、ある種のフラボノイドやテルペンにMDR1発現を上昇させる活性を見出した。特にフラバノールがMDR1発現を亢進させる効果は、マウスへの投与実験によっても確認された。また。AhRを介して解毒酵素系を活性化する成分を評価するためのレポーターアッセイ系も構築し、活性物質の探索と解析を開始した。 (3)ゴマリグナン類、特にセサミノールに関して小腸上皮や肝臓において発現する第一相薬物代謝酵素であるシトクロムP450を用いて生体内代謝を検討した。P450とセサミノールを反応させ、反応生成物と考えられるピークを単離、解析したところ、セサミノールのメチレンジオキシ構造が解裂しカテコール構造を有する化合物に変化していることが明らかとなった。 (4)ヒト腸管Caco-2細胞を用いて、ワサビの機能性因子6-HITCによる解毒酵素発現誘導機構について検討した。その結果、分化したCaco-2細胞では抗酸化酵素ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の発現誘導が、Nrf2を介して行われていること、未分化細胞での発現は遅いシグナル経路により誘導されていることが見出された。6-HITCに対するCaco-2の応答性は分化程度により異なっており、これは6-HITCがアクチン細胞骨格を介して作用するためと推測された。
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Research Products
(1 results)