Research Abstract |
(1)腸管における第2相解毒酵素UGT1A1の発現調節作用が見出されたフラボノイドやテルペノイドの作用機構を解析し,この調節が転写因子であるPXRやAhRを介していることを見出した。また,フラボノイド類がこれらの転写因子とリガンド結合領域を介して直接相互作用をしていること,結合によって転写因子の核内移行を誘導していることを示した。さらにある種のフラボノイドがUGT1A1以外にもHO-1,NQO-1,GSTP-1などの酵素系も活性化することを見出し,転写因子Nrf2も腸管の解毒系調節に関わることを明らかにした。 (2)抗酸化物質であるαリポ酸が,腸管上皮細胞のグルタチオンレダクターゼで還元型に変換されることを見出すとともに,αリポ酸が第3相酵素であるMRP-2〜3,BCRPなどの排出トランスポーターの発現を活性化することを発見した。また,この活性化にもNrf2が関与することを見出し,腸管上皮の第2相と第3相酵素系の連携にこれらの転写因子が重要な働きをしていることを示した。 (3)抗酸化食品因子であるゴマリグナン類,クルクミノイド,アスタキサンチンの代謝機構をp-450を中心に解析したところ,ゴマでは新規なカテコールタイプ構造を持つリグナン類,クルクミノイドでは新規な還元代謝物,天然体のトランスアスタキサンチンではシス体への変換機構が初めて見出された。また,いずれも代謝物質の方が強力な生理機能を持つという興味ある結果を得た。 (4)腸管上皮細胞Caco-2は第2相酵素GSTP1を分化依存的に発現する。そこで,細胞の増殖,分化に重要とされる腸管特異的転写因子CDX2に焦点を当て,GSTP1発現誘導におけるその関与について検討した結果,GSTP1プロモーター領域-405〜-201の領域内のTTTACを含む20塩基にCDX2が結合し,転写活性化することを明らかにした。
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